愛知・日本ガイシアリーナで行われていた「第93回日本選手権水泳競技大会」が16日、閉幕した。世界水泳選手権(7月、ハンガリー・ブタペスト)の日本代表選考会を兼ねた大会の最終日は8種目で決勝が開催された。16歳の池江璃花子(ルネサンス亀戸)は女子50m自由形と100mバタフライを制し、今大会出場5種目全てで優勝。女子初の大会5冠を達成した。池江は5種目で世界選手権代表に内定した。男子は200m背泳ぎで入江陵介(イトマン東進)に勝った萩野公介(ブリヂストン)が今大会4種目目の優勝を果たした。

 

 16歳の池江が偉業を成し遂げた。これまでの女子最多は渡部香生子と萩原智子の4冠。4日間で5種目10レースのタフな日程を乗り越えた。

 

 ここまで50mバタフライ、200m自由形、100m自由形と1日1種目を制してきた。だが、この日は50m自由形、100mバタフライの2種目にエントリー。4日間で一番の難関だった。

 

 まずは50mの決勝に臨むとノーブレス(息継ぎなし)で泳ぎ切った。2位に1秒近くの差をつける24秒57で優勝。自らの持つ日本記録には0秒09届かなかったものの、女子初の5冠へリーチをかけた。

 

 約40分後に迎えた100mバタフライも自らが日本記録を持つ種目だ。こちらも他を圧倒。前半の50mを唯一26秒台で泳ぎ、日本記録よりも0秒09速いペースでターンした。身体ひとつリードしてそのまま逃げ切った。フィニッシュタイムは57秒39。日本記録更新はならなかったが、見事5冠を達成した。

 

「達成感でいっぱいです」。出場全5種目を制した池江は、充実感をにじませて語った。いずれの種目で自己ベストを更新できなかった。それでも個人5種目で世界選手権の派遣標準記録を突破してみせたのは流石だ。昨年のリオデジャネイロ五輪では7種目にエントリーしたタフな16歳は、ハンガリーの地でも多くのレースで見ることができそうだ。

 

 最終日の主な結果は次の通り。

 

<男子200メートル背泳ぎ・決勝>

1位 萩野公介(ブリヂストン) 1分56秒39

2位 入江陵介(イトマン東進) 1分57秒06

3位 金子雅紀(イトマン東進) 1分57秒16

 

<男子200メートル平泳ぎ・決勝>

1位 小関也朱篤(ミキハウス) 2分7秒18

2位 渡辺一平(早稲田大) 2分7秒60

3位 小日向一輝(セントラルスポーツ) 2分9秒96

 

<女子50メートル自由形・決勝>

1位 池江璃花子(ルネサンス亀戸) 24秒57

2位 大内紗雪(ダンロップSC/日大藤沢高) 25秒41

3位 佐藤綾(新潟医福大職員) 25秒52

 

<女子100メートルバタフライ・決勝>

1位 池江璃花子(ルネサンス亀戸) 57秒39

2位 長谷川涼香(東京ドーム) 58秒69

3位 牧野紘子(東京ドーム) 58秒89

 

<女子200メートル平泳ぎ・決勝>

1位 青木玲緒樹(ミキハウス) 2分23秒24

2位 鈴木聡美(ミキハウス) 2分25秒27

3位 清水咲子(ミキハウス) 2分26秒00

 

※選手名の太字は世界選手権代表に内定

 

(文/杉浦泰介)