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(写真:先制のホームを踏んだ古澤を迎え入れるトヨタ自動車のベンチ)

 22日、日本女子ソフトボールリーグ1部の開幕節が名古屋ドームで行われた。昨季優勝のトヨタ自動車レッドテリアーズは準優勝の太陽誘電ソルフィーユを1ー0で下した。同4位のビックカメラ高崎BEE QUEENが同3位の日立サンディーバに延長タイブレーカーの末、4ー3でサヨナラ勝ち。同11位の伊予銀行VERTZは2部から昇格してきた日本精工Brave Beariesを5ー1で破った。

 

 二刀流・藤田、打で好機生かせず
太陽誘電ソルフィーユ      0 = 0000000
トヨタ自動車レッドテリアーズ  1 = 100000X
勝利投手 アボット(1勝0敗)
敗戦投手 藤田(0勝1敗)

 

 50回目を迎える日本リーグが開幕。連覇を目指すトヨタ自動車が“スミ1”で白星スタートを切った。

 

 昨季2年ぶり9度目の優勝を果たしたチームからナターシャ・ワトリーが引退。歴代1位の通算打率4割1分1厘を誇るヒットメーカーの不在は大きな痛手だ。福田五志監督から指揮官のバトンを受け取った中西あかね新監督は打線を組み換えた。ワトリーの定位置だった1番には古澤春菜を起用。主軸を務めていた坂元令奈を2番に置いた。3番は渥美万奈、4番は長﨑望未、5番は山崎早紀に任せた。

 

 対する太陽誘電の先発は藤田倭だ。昨季のリーグMVP。最多勝、本塁打王、打点王の3冠を達成した女子ソフトボール界の二刀流である。トヨタ自動車は日本代表にも名を連ねる右腕を初回から攻め立てた。古澤が四球を選んで出塁すると、坂元がすかさず送る。1死二塁のチャンスをつくり、3番の渥美が打席に入った。「坂元さんが1球で送ってくれたので、“トヨタの流れだな”と感じました」と渥美。スカウティングにより、インコースの厳しいボールを捨て真ん中から外寄りの球を狙いを絞った。

 

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(写真:先制タイムリーを「あんなにキレイに打てたのは自分でもびっくり」と振り返った)

 渥美は初球からバットを振り抜いた。甘く入った真っ直ぐを見逃さず二遊間を破った。古澤は迷わず三塁ベースを蹴り、ホームへ滑り込んだ。古澤が塁に出て坂元がきっちり繋ぐ。「2番・坂元は初回、ピッチャーの立ち上がりに得点するための打順。目指していたかたちができた」と中西監督の選手起用がズバリ当たった。渥美のタイムリーも藤田を分析して狙いを絞っていたからこそ。女王の思惑通りに先制点を奪った。

 

 エースのモニカ・アボットにはこの1点で十分だった。昨季14勝を挙げたサウスポーは今年も健在。力強い速球を峰幸代が構えるミットに投げ込んだ。太陽誘電打線のバットは空を斬るばかり。3回に四死球などで1死満塁のピンチを迎えたが3番の大塚を空振り三振に切って取る。続く4番の藤田をファーストファウルフライに仕留めて凌いだ。

 

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(写真:アボットは強気のピッチングを最後まで貫いた)

 ランナーを出しながらも藤田の粘りのピッチングの前にトヨタ自動車打線はアボットを援護できない。それでもアボットの直球は最後まで衰えることなく110km以上を記録し、三振を奪ってスコアボードにゼロを並べた。終わってみれば3安打11奪三振完封。「峰と計画したピッチングプランを貫き通せた」と胸を張った。

 

 キャプテンの坂元は「2017年、そして監督が変わってからの初戦を勝てて良かった」とホッとした様子。「フォアボールを選んでつなぐことが1人1人できていた」とチーム一丸となって戦えたことを評価した。日本リーグ初陣を白星で飾った中西監督は「選手たちはやるべきことをできていた。私がもう少しうまくやれていればもっと点がとれたかもしれない」と自身の采配を反省した。

 

 トヨタ自動車は福田前監督が「我々はソフトボール界をリードしていくポジション」と言っていたように日本代表を多く揃える常勝軍団である。韋駄天のトップバッターが抜けても、それは揺るがない。長﨑ら中堅選手を軸に組んだ新オーダー。中西監督のメッセージは中堅選手の奮起にある。彼女たちの成長如何で連覇の可能性は極めて高くなるだろう。


 中西、土壇場で逆転サヨナラタイムリー
日立サンディーバ          3= 00000021
ビックカメラ高崎BEE QUEEN  4= 10001002×(延長8回タイブレーカー)
勝利投手 上野(1勝0敗)
敗戦投手 岡村(0勝1敗)
本塁打 (日)林1号ソロ

 

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(写真:2年目の中西は初スタメン。岩渕監督の起用に応えた)

 昨季、リーグ戦での順位はビックカメラが3位、日立は4位だった。決勝トーナメントで日立が“下剋上”を果たしたため、最終順位は入れ替わった。先発のマウンドにはその決勝トーナメントと同じビックカメラが上野由岐子、日立が小薗美希が立った。

 

 雪辱に燃えるビックカメラは初回に山本優が、5回に我妻悠香がタイムリーを放って2点をリードして終盤を迎えた。7回まで上野に2安打に抑えられていた日立打線も意地を見せる。林佑季のホームランで1点を返すと、木村千春のタイムリーで追いついた。

 

 タイブレーカーに突入すると、ビックカメラは二死満塁で我妻が痛恨のパスボール。バッテリーエラーで勝ち越しを許した。ビックカメラはバント失敗でチャンスを逸したかに思われたが、そこから粘って塁を埋める。最後は中西がセンターオーバーのタイムリーで2人が還り、逆転勝ちを収めた。

 

 今季から指揮を執る岩渕有美監督は「選手たちが力を出してくれた結果」と開幕勝利を喜んだ。「まだ22(試合)のうちのひとつ。これからが本当の戦いになる。過信にならず自信につなげたい」と気を引き締めた。

 

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(写真:正木ら野手陣が守備で庄司を盛り立てた)

 庄司、初の開幕投手で4安打7奪三振完投
伊予銀行VERTZ      5 = 0100400
日本精工Brave Bearies  1 = 0000001
勝利投手 庄司(1勝0敗)
敗戦投手 藤嶋(0勝1敗)
本塁打 (日)安井1号ソロ

 

 昨季は入れ替え戦に回った伊予銀行と、2部を制して1部に乗り込んできた日本精工の戦いは伊予銀行に軍配が上がった。

 

 4年目で初の開幕投手を任された庄司奈々が好投。6回までスコアボードにゼロを並べた。打線は2回に相手のエラーで先制すると、5回に4得点を奪った。チャンスに2年目の樋口菜美が2点適時打。その後も加藤文恵、正木朝貴がタイムリーで続いた。

 

 庄司は完封まであと2アウトとしたが、日本精工の4番・安井聖梨奈に一発を浴びた。それでも後続を断ち、完投勝利。伊予銀行はこれで2014年に1部昇格してから開幕戦は4連勝となった。

 

(文・写真/杉浦泰介)