(写真:8クラブの代表者がそれぞれ抱負を語った)

(写真:18クラブ中8クラブがトロフィーへの挑戦権を得た)

 8日、男子プロバスケットボールの「B.LEAGUE」は東京ドームホテルで13日から開幕するチャンピオンシップ(CS)の記者会見を行った。CSに出場する8クラブから代表者1人ずつが出席し、初代王者へ向けて意気込みを語った。またB.LEAGUEはシーズン終了後の30日に都内で年間表彰式「B.LEAGUE AWARD SHOW」の開催も発表した。

 

「リーグは初年度の最終章を迎えます」。大河正明チェアマンが口にしたように、昨年秋に産声を上げたB.LEAGUEが佳境を迎えている。27日、東京・代々木第一体育館で行われるファイナル進出へ、8つのクラブがその挑戦権を得た。東地区と中地区からはそれぞれ3クラブが勝ち上がってきた。東地区が栃木ブレックス、アルバルク東京、千葉ジェッツ。中地区は川崎ブレイブサンダース、三遠ネオフェニックス、サンロッカーズ渋谷だ。西地区はシーホース三河と琉球ゴールデンキングスである。

 

(写真:渋谷のブラウン<右>は「下克上できる準備はできている」と息巻く)

(写真:渋谷のブラウン<右>は「下克上できる準備はできている」と息巻く)

 全体1位の勝率を誇るのが川崎だ。49勝11敗で勝率は唯一8割を超える。統合前のNBL最後の王者は3月18日に一番乗りでCS進出を決めた。1試合における平均得点84.3点はリーグトップ。シュートエリアの広い得点王Cニック・ファジーカスを中心とした破壊力抜群の攻撃陣が敵に襲い掛かる。

 

 ホームで迎えるCS初戦は同地区3位、ワイルドカードで出場の渋谷が相手だ。リーグ戦の対戦成績は6勝2敗と大きく勝ち越しているが、ここ4試合に限れば五分である。SG辻直人は「1試合目の出だしが勢いに乗れるチャンス。入りで離せれば2試合目もうまくいくのではないかと思う」と先手必勝を掲げる。「強豪チームが出そろった。身が引き締まる思い」と語る辻は、昨年のNBLプレーオフMVPだ。「B.LEAGUEでも獲りたい」。NBLとB.LEAGUEの“連覇”、そして2年連続での大きな勲章を手にすることを誓った。

 

(写真:直接対決では何かと比較される両者だが、持ち味は異なる)

(写真:直接対決では何かと比較される両者だが、持ち味は異なる)

 強豪ひしめく東地区を制した栃木は、本拠地ブレックスアリーナ宇都宮で同地区3位の千葉を迎え撃つ。リーグの対戦成績は4勝4敗の五分。千葉のPG富樫勇樹は「互いの良さは分かっている」と勝手知る相手だ。全日本総合準々決勝では優勝した千葉に軍配が上がっており、リーグ戦の直接対決も宇都宮で千葉が勝った。栃木のPG田臥勇太は「最終戦で負けた悔しさを晴らせるように」と雪辱に燃えている。堅守を誇る栃木は、リーグ戦を9連勝で締めくくった千葉が挑む。

 

 栃木vs.千葉は日本を代表する指令塔対決でもある。「チームを勝たせるのがPG」と口を揃える田臥と富樫は、いずれもNBAチームと契約した実績を持つプレーヤーだ。田臥はベテランらしくゲームを読むのが巧い。9日の千葉での直接対決では2つのスティールから流れを変え、チームを勝利にもたらした。一方の富樫はアップテンポでアグレッシブなバスケットを志向する千葉の看板。スピードを生かした突破に加え、外からのシュートもあり、時としてスコアラーにも変貌する。2人を含め、控えのPGがどこまでゲームをコントロールできるかが勝敗を分けることになるだろう。

 

(写真:NBAなどと同じティファニー社製の優勝トロフィー)

(写真:NBAなどと同じティファニー社製の優勝トロフィー)

 CSの優勝賞金は5000万円。賞金総額は1億円を超えるというトーナメントになる。「CSがいかに盛り上がって、心を打つような演出ができるかが課題」と大河チェアマン。ファイナルは先行販売のチケットが即日完売になったという。その舞台は開幕戦と同じ代々木第一体育館。この日、お披露目されたチャンピオントロフィーを掴むのはどこになるのか――。まずは週末、8から4に絞られる。

 

(文/杉浦泰介、写真/大木雄貴)