韓国で開催されるU-20ワールドカップが、20日に開幕する。5大会ぶりの出場で注目を集める日本は21日のグループリーグ初戦で南アフリカと対戦する。

 

 厳しいグループに入ったと言える。

 身体能力の高い南アフリカの実力は未知数であるものの、2戦目で対戦するウルグアイは南米予選を1位で突破した優勝候補。また3戦目のイタリアも、欧州2位と実力を示している。

 

 ウルグアイは今夏にユベントス移籍が決まっている逸材、司令塔のMFロドリゴ・ベタンクール(ボカ・ジュニアーズ)らアタッカー陣にタレントが多い。攻撃の破壊力が魅力のチームだ。

 

 イタリアはACミランのGKジャンルイジ・ドンナルンマ、フィオレンティーナFWフェデリコ・キエーザ(父親はパルマなどで活躍したあのエンリコ・キエーザ)ら中心選手がA代表やクラブ事情との兼ね合いもあって選外となったが、カリアリでレギュラーを張るMFニコロ・バレッラや、ユベントスが今冬の移籍市場で獲得したMFリッカルド・オルソリーニ(セリエBアスコリに移籍中)ら将来を有望視される選手たちが入っている。この2チームは若きタレントの宝庫だ。

 

 とはいえ、東京五輪世代のターゲットエイジであるアジア王者の日本も、負けてはいない。

 

 Jリーグでレギュラーを張る中山雄太(柏レイソル)、冨安健洋(アビスパ福岡)の両センターバックを筆頭に、MF堂安律(ガンバ大阪)、三好康児(川崎フロンターレ)、FW小川航基(ジュビロ磐田)、岩崎悠人(京都サンガ)らトップチームで出場機会を増やし、ここに来てグッと成長を加速させている選手が多い。そしてバルセロナ下部組織育ちのFW久保建英(FC東京U-18)も名を連ねた。

 

 U-20W杯はグループの上位2チームに加え、3位の成績上位4チームが決勝トーナメントに進むことができる。まずは初戦の南アフリカ戦に、勝利することが極めて重要だ。東京五輪を見据えれば、1試合でも多くこなしたいところ。ベスト8入りが、目標となってくるだろうか。

 

 過日、ロンドン五輪でU-23日本代表を率い、ベスト4に導いた関塚隆氏に話を聞く機会があった。20歳前後でトップチームの試合に出ている点などを含め、この世代に対する期待感を口にしていた。それと同時に、その先にあるA代表入りを目標にすべきだと自論を語ってくれた。

「『五輪経由W杯行き』という言葉がありますよね。でも世界を見渡せば、U-20の世代からドンドンA代表に飛び出している。日本もそういう時期に来るのかもしれません。U-20W杯で活躍して、A代表の候補に名前が挙がってほしいなって思います」

 

 あのリオネル・メッシも2005年のオランダ大会で得点王、MVPに輝いてアルゼンチンの優勝に大きく貢献し、すぐにA代表に呼ばれて18歳で国際Aマッチデビューを果たしている。その後の活躍は説明の必要もないだろう。

 

 内山篤監督はメンバー発表会見でこう抱負を述べている。

「(今大会が)東京五輪やフル代表、いろんなものにつながっていくと思う。相手におびえてネガティブに(大会に)入ってしまうと、何も残らない可能性がある。選手たちにはとにかく持っているものを出してもらいたい。素晴らしい経験ができると思うので、アグレッシブにやりたい。それが一番」

 

 U-20ホンジュラス代表との親善試合(15日)では3-2で勝利したとはいえ、相手のスピードに振り回されて守備に大きな不安を残しているのも確か。だが、大会前に課題が浮き彫りにな

たことはプラスに受け止めたい。

 

 韓国経由ロシア行き。

 その切符をつかむためにも、大舞台で結果を残さなければならない。


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