(写真:「私は競争を生んでいる」と豪語したハリルホジッチ監督)

(写真:「私は競争を生んでいる」と豪語したハリルホジッチ監督)

 日本サッカー協会は25日、キリンチャレンジカップ2017のシリア代表(FIFAランキング80位)戦と「2018FIFAロシアワールドカップ アジア最終予選」のイラク代表(同120位)戦のメンバー25名を発表した。スペインリーグのバルセロナ戦で2ゴールを決めたばかりのMF乾貴士(エイバル)が約2年ぶりに代表復帰を果たした。また、GK中村航輔(柏レイソル)DF宇賀神友弥(浦和レッズ)、DF三浦弦太(ガンバ大阪)、ブルガリアリーグでプレーするMF加藤恒平(PFCベロエ)が代表初招集となった。シリア戦はホームで7日、イラク戦はアウェーで13日に行われる。

 

 いつもの代表発表会見より、会場がどよめく回数が多かった。

 

 まずはGKの発表だ。川島永嗣(FCメス)、東口順昭(ガンバ大阪)まではいつもの顔ぶれ。GKリストの残り1人は西川周作(浦和レッズ)ではなくリオ五輪代表の中村だった。リーグ戦2位の柏レイソルの守護神についてヴァイッド・ハリルホジッチ監督は「若い選手。柏が好調なのは彼の活躍が大きいのではないか」と評価を口にした。

 

 DF陣も目新しいメンバーが名を連ねた。宇賀神、三浦が初選出されたのだ。

 

 両サイドでのプレーが可能な宇賀神。指揮官は、宇賀神の起用法も明言した。

「長い間追跡してきた選手です。右利きで右サイドもできるが、4バックの左で考えている。過去、このポジションはいろいろ選手を試したが、今度は彼の番」

 

 三浦は今季、清水エスパルスからG大阪に移籍し、センターバックとしてレギュラーを掴んだ。ハリルホジッチ監督は22歳のDFに、こう期待を寄せる。

「ここ2、3カ月注目していた。特にフィジカル面で良いパフォーマンスを見せてくれていた。空中戦、地上戦ともに強い。後ろからの組み立てでも賢さを見せている。この若い選手を信頼したい。この合宿中にどのような活躍をするか、見てみたい」

 

 極めつけは、ブルガリアリーグでプレーする加藤の招集だった。この日、一番のどよめきが会場を包んだ。過去に「ブルガリアの加藤も見ている」と注目していた選手をついに、初めて手元に呼ぶ。ハリルホジッチ監督がブルガリアに4度も渡り、偵察をしていた“秘密兵器”。どういう選手なのか。指揮官の加藤評は、こうだ。

 

「ボールを奪える選手。ボールを奪う場面でアグレッシブに戦える。しっかり組み立てもできる。良いパスが出せる。少し山口蛍に似ているが山口よりはパワーはない。守備の修正役を担える選手。予測とアグレッシブさのレベルが高い選手」

 

 今野泰幸(ガンバ大阪)、遠藤航(浦和レッズ)、山口蛍(セレッソ大阪)、そして加藤。フィジカルコンタクトに長けて、守備が得意なボランチをそろえたのは、イラク戦が行われるテヘランのスタジアムのピッチ状況が悪いためだ。グラウンドがデコボコで、ショートパスを繋げず、ロングボールが多くなるとハリルホジッチ監督は予測。そうなると、セカンドボールの奪い合いが多くなる。今回の最終予選は激しい肉弾戦になりそうだ。

 

 最終予選のイラク戦の前に、シリアとの親善試合を行う。ここで新戦力を試しつつ、イラク戦に弾みを付けられるか。指揮官、選手たちは、ロシア行きに王手をかけるために、なりふり構わず戦ってほしい。

 

【日本代表メンバー】

GK
川島永嗣(FCメス)
東口順昭(ガンバ大阪)
中村航輔(柏レイソル)
DF
長友佑都(インテル・ミラノ)
槙野智章(浦和レッズ)
宇賀神友弥(浦和レッズ)
吉田麻也(サウサンプトン)
酒井宏樹(マルセイユ)
酒井高徳(ハンブルガーSV)
昌子源(鹿島アントラーズ)
三浦弦太(ガンバ大阪)
MF
今野泰幸(ガンバ大阪)
倉田秋(ガンバ大阪)
香川真司(ドルトムント)
加藤恒平(PFCベロエ)
山口螢(セレッソ大阪)
遠藤航(浦和レッズ)
井手口陽介(ガンバ大阪)
FW
岡崎慎司(レスター・シティー)
本田圭佑(ACミラン)
乾貴士(SDエイバル)
大迫勇也(ケルン)
原口元気(ヘルタ)
久保裕也(ヘント)
浅野拓磨(シュツットガルト)

 

(文・写真/大木雄貴)