男子バスケットボールリーグ「B.LEAGUE」のチャンピオンシップ(CS)ファイナルが27日、東京・代々木第一体育館で行われた。東地区優勝の栃木ブレックスが中地区優勝の川崎ブレイブサンダースを85-79で下し、初代王者に輝いた。

 

◇ファイナル

 ギブス、25得点9リバウンドの活躍(代々木第一体育館)

川崎ブレイブサンダース 79-85 栃木ブレックス

【第1Q】21-21【第2Q】16-22【第3Q】26-16【第4Q】16-26

 

 昨秋に開幕した男子プロバスケットボールリーグ。初年度のB.LEAGUEチャンピオンが決まった。開幕戦と同じ代々木第一体育館で開催。開幕戦を上回る1万人超の観客が集まった。

 

 矛の川崎、盾の栃木。川崎は得点王のCニック・ファジーカスを擁し、SG辻直人やPG篠山竜青ら日本人にも得点力の高いプレーヤーを揃える。栃木はリバウンド王のPF/Cライアン・ロシターのほか、PF/Cジェフ・ギブス、PF/C竹内公輔とインサイドに強い選手がおり、堅い守備が自慢だ。

 

 15時過ぎにティップオフした試合は、篠山のレイアップで幕を開けた。フリースローは決まらなかったが、鋭いドライブから相手のファウルを誘い、バスケットカウントを手にした。対する栃木もSG/SF古川孝敏もスリーポイント(3P)を決める。両軍、CSで好調のプレーヤーがチームの初得点を挙げた。その後も点を取り合い、第1クォーター(Q)は21-21で終了した。

 

 第2Qは栃木のペースとなった。粘り強い守備で川崎の攻撃を16点に抑えた。ロシターはこのQだけで6リバウンドを獲得。シューターの古川は2本の3Pを含む10得点も稼いだ。6点のリードで前半を終えた。一方、川崎はファジーカスがフィールドゴール(FG)ゼロと苦しんだ。ロシターとファジーカスの両エースの明暗分かれたかたちとなった。

 

 後半には入ると、リーグ最高勝率の川崎が息を吹き返す。篠山の3Pで3点差に詰め寄ると、ファジーカスにもFGが決まった。篠山のジャンプシュートで52-51と逆転。その後もファジーカスがファウルをもらってフリースローでスコアを重ねる。PFライアン・スパングラー、PFジュフ磨々道とインサイド陣も機能。このQは26ー16で、トータルスコアを63ー59とした。

 

 川崎は残り10分で4点のリードを守り切れれば、初代王者に就く。昨シーズンは最後のNBLを制しており、異なるリーグで“連覇”を達成することになる。そこに待ったをかける栃木。古川、ギブス、ロシターが決めて試合時間7分を残して再逆転に成功する。ここから川崎はファジーカスを中心にスコアを狙う。栃木はギブスがインサイドでアグレッシブなプレーを見せ、食らいつく。

 

 息を飲むような熱戦。栃木が川崎を振り切った。80ー79と栃木がリードの場面。川崎の篠山が相手の隙を突くアリウープパスを選択した。空中でボールを掴んだスパングラーがゴールへ放ったシュートはリングに嫌われる。ロシターはリバウンド。その後の攻撃で古川がジャンプシュートを確実に決めた。82ー79とリードを広げた。

 

 このダメージは大きくタイムアウト後の攻撃で篠山がパスミス。一方の栃木はPG田臥勇太がドライブで切り込んで相手を引き付けると、インサイドでフリーのギブスへパス。絶妙なアシストにギブスもゴールを決めて応える。「チームを勝たせるのがPGの仕事」。それを象徴的に表すような攻防だった。川崎も辻、篠山が3Pで追い付こうとしたが、リングに弾かれた。

 

 最終スコアは85ー79で栃木が川崎を破った。栃木44に対し、川崎32。リバウンドで大きく上回り、持ち味の堅い守備が機能した栃木が初代王者の称号を手にした。

 

(文/杉浦泰介)