ロシアW杯アジア最終予選のB組第8節が13日(日本時間)に行われ、同組1位の日本代表(FIFAランキング45位)は5位のイラク代表(同120位)と中立地のイラン・テヘランで対戦し、1-1で引き分けた。試合は前半8分、FW大迫勇也が右CKからヘッドで先制するが、後半27分にMFマフディ・カミルに同点ゴールを決められた。勝ち点1を獲得した日本は、勝ち点を17でB組首位をキープ。8月31日に埼玉スタジアムで行われるオーストラリア代表(同48位)との試合に勝てば、W杯出場が確定する。

 

 吉田、失点につながる痛恨の判断ミス(テヘラン)

日本代表 1-1 イラク代表

【得点】

[日] 大迫勇也(8分)

[イ] マフディ・カミル(72分)

 

 引き分け以上でW杯王手がかかる日本。負傷者が続出している中盤は、左サイドが主戦のMF原口元気がトップ下に入り、MF遠藤航とシリアとの親善試合でA代表デビューを飾ったMF井手口陽介がダブルボランチを組んだ。右サイドでの起用が続いていたFW久保裕也は左サイドに入った。右サイドには5戦ぶりに先発出場となったFW本田圭佑を起用した。

 

 前半8分、日本が先制する。本田が右CKから速いクロスを供給。このボールに大迫がニアサイドでバックヘッド気味に合わせ、ゴール左に吸い込まれた。気温37.4度の灼熱の地・テヘランで戦うイレブンを精神的に楽にする貴重な1点だった。

 

 先制ゴールを決めて安心したのか、日本はチームの重心が後ろへ下がった。すると、イラクにボールを回されるようになり、相手をリズムに乗せてしまった。18分、日本の右サイドからファーサイドへクロスを上げられると、FWアラー・アブドゥルザフラに折り返され、カミルにヘディングでシュートを放たれる。ボールはわずかにバーの上で日本は救われたものの、この後もクロスから同じような形でピンチを招いた。

 

 流れが引き戻せないまま試合を折り返す日本。後半も押し込まれる展開が目立った。ギリギリのところでDF昌子源がはね返していたが、27分に同点ゴールを献上する。アブドゥルザフラが中央を強引に突破され、ボールが日本のゴール前でこぼれる。DF吉田麻也が後ろからFWモハナド・アブドゥルラヒーム・カッラルが走り込んできていたことに気づかず、GK川島永嗣に捕球させようとする。この隙をアブドゥルラヒームに突かれ、再びこぼれたボールをカミルに蹴り込まれた。吉田は外に蹴り出すこともできたはず。セーフティーがどれだけ大事かを失念したような稚拙な守備が招いた失点だった。

 

 この後、日本は反撃を試みるも、シュートを打ち切れない場面ばかりが目立った。終了間際に本田が左足で放ったシュートもGK正面。ロシア行きに王手をかけたが、煮え切らない内容のドローとなった。

 

 先制ゴールを奪った大迫は「僕らの課題が出た試合。1点を取った後に、チームの重心が後ろに下がったことが問題。あそこで2点目を取る意識がなかったので、残念」と唇を噛んだ。

 

 キャプテンマークを巻いた本田はこう語った。

「悔しいですけど、仕方ない。怪我人が多く、最低限のことをやったと思う一方で、先制点を取れたので、うまく戦えることができていれば、追加点も狙えた。(最終予選の残りの試合は)どの相手と戦っても簡単ではない。それぞれ決勝のつもりでプレーしたいと思う」

 

 アジア最終予選は残り2試合。ホームでのオーストラリア戦(8月31日)、アウェーでのサウジアラビア戦(9月5日)だ。勝ち点17の首位日本に続くのは、同16のサウジアラビア。オーストラリアはサウジアラビアと同じ勝ち点ながら、得失点差で3位につけている。次節、オーストラリアを確実に叩き、ロシア行きのチケットを手に入れたい。

 

(文/大木雄貴)