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(写真:調印式に出席したハビエル・テバス会長<右>、乾貴士<中央>、村井満チェアマン)

 Jリーグは22日、JFAハウスで会見を開き、スペインリーグとの戦略的連携協定締結を発表した。両リーグはトップチーム同士の交流を積極的に深めることを始め、育成面や八百長防止の情報共有、クラブやリーグ運営のノウハウを共有する。Jリーグは初めてヨーロッパのリーグと協定を締結。一方のスペインリーグにとってもアジアとの提携は初となった。

 

 スペインリーグと言えば、パスワークに長けたクラブが多く、世界屈指のサッカーリーグだ。特にレアル・マドリードとFCバルセロナのレベルは群を抜いている。UEFAチャンピオンズリーグの直近4大会の優勝クラブはこの2クラブ。そんなハイレベルなリーグからJリーグが様々なノウハウを吸収できる意義は大きい。

 

 現在、Jリーグのクラブに登録されているスペイン人選手は5人、Jリーグで指揮を執るスペイン人監督は7人。スペインリーグでプレーする日本人選手はMF乾貴士(1部・エイバル)、MF柴崎岳(2部・テネリフェ)、DF鈴木大輔(2部・タラゴナ)の3人。この7月にはセビージャが来日し、17日にセレッソ大阪と、22日に鹿島アントラーズと試合を行なう。セビージャは今年1月までC大阪のMF清武弘嗣が所属し、UEFAヨーロッパリーグを5度制覇した実績を誇る強豪クラブだ。

 

 Jリーグの村井満チェアマンは会見で、オンザピッチとオフザピッチの両面で交流を深めたいと明かした。

「オンザピッチについては、トップチームの相互交流。今回はセビージャが来日しますが、加速的にトップチーム間の交流を増やしていく。そして、育成面でも多くのことを学びたい。スペインリーグはトップチームの25人枠のうち6割くらいが下部組織からトップに上がった選手。ホームグロウン制度が固定化されているわけではないのに、ここまで育成組織からトップに選手が昇格している点は日本が学ばないといけない。

 

 オフザピッチについては、八百長防止などのインテグリティに関する事項、クラブマネジメントに関する事項について交流を深めたい。給料の未払いや八百長がなく、クリーンでフェアな点をJリーグとしては述べていきたい」

 

 一方のスペインリーグのハビエル・テバス会長はJリーグが今季から契約しているDAZNによるインターネット中継に興味があるようだ。

「放映権に関して、DAZNと契約したことは大変革新的だ。TVではなく、オンライン上でサッカーの試合を見られることは大きな可能性を秘めている。今後どういう方向に向かうのか注目している」

 

 スペインリーグ1部のエイバルで活躍するMF乾貴士も会見に登壇した。乾は「日本はスペインから学ぶことは多い」と語り、その理由を述べた。

「スペイン人は体格的に日本人に似ていて、テクニックが高い面も似ている。だが、スペインの選手は頭が良い。頭の良さでは日本の選手は劣っている」

 

 卓越したテクニックを武器に華麗な攻撃を展開するチームが多いスペインリーグ。その一方で、守備に細かな決まりが多く、選手はインテリジェンスの高さが求められるのもスペインの特徴である。スペインのトップチームとJクラブは交流を深め、ぜひ参考にしたい点だ。

 

 この協定締結を契機にJリーグはさらなる発展を遂げる。

 

(文・写真/大木雄貴)