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(写真:突破を阻まれるリーチ〈中央〉。ティア1のアイルランドはミスが少なかった)

「リポビタンDチャレンジカップ2017」第3戦が24日、東京・味の素スタジアムで行われ、日本代表(ワールドラグビーランキング11位)はアイルランド代表(同3位)に13-35で敗れた。17日の第2戦に続き、連敗となった。日本は6月のテストマッチを1勝2敗で終えた。

 

“W杯前哨戦”は1勝2敗で終えた。2019年W杯日本大会で対戦する可能性が高いルーマニア(同16位)には勝利したものの、同プールに入ることが決まっているアイルランドには2連敗を喫した。

 

 日本は22-50で完敗だった1週間前の試合からスターティングメンバーを8人入れ替えた。FL松橋周平(リコーブラックラムズ)、SH流大(サントリーサンゴリアス)ら若手を起用。一方で15年W杯イングランド大会主将のFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)、同メンバーのLOトンプソン・ルーク(近鉄ライナーズ)もメンバー入りを果たした。

 

 ジェイミー・ジョセフHCとしては流れを変えたい思いもあったのだろう。しかし、開始早々に失点を喫する苦しい立ち上がりだった。前半3分、相手ボールを敵陣で奪って、攻撃を展開。そのパスをCTBギャリー・リングローズにインターセプトされ、そのままぶっち切られた。W杯優勝経験がないとはいえ、流石はティア1の強豪国。一瞬の隙をすぐさま得点に繋げられた。

 

 11分には左サイドに展開され、最後はFLジョシュ・ファンデルフリーアーにトライを取られる。0-14とリードを許してしまう。それでも13分には松橋の好タックルから、ボールを奪取すると連続攻撃で陣地を稼いだ。SO小倉順平(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)のPGで3点を返した。

 

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(写真:1トライを奪った松島〈左端〉はスピードと巧みなステップで敵陣を切り裂いた)

 19分にトライとコンバージョンで3-21と再び14点差にリードを広げられたが、日本も意地を見せる。23分、LOヘウ・ウヴェ(ヤマハ発動機ジュビロ)が相手を引きずりながら前進。チャンスを作ると、流から右サイドの小倉へとボールが渡った。最後は小倉からパスを受けた大外のCTB松島幸太朗(サントリーサンゴリアス)が巧みなステップワークでアイルランドディフェンスを振り切ると、インゴール右隅にトライ。8-21と差を詰めた。

 

 スクラムでは互角以上の勝負をしていたものの、攻撃では最後の最後のミスという場面も目立った。その後も追加点を許した。結局、8-28でハーフタイムを迎えた。

 

 日本は後半開始からHO堀江翔太(パナソニック ワイルドナイツ)、PR渡邉隆之(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)、SO松田力也(パナソニック ワイルドナイツ)をピッチに送り込む。テンポの良い攻撃を繰り出し、敵陣でプレーする時間が増える。3分には松橋がトライを奪うが、TMO(ビデオ判定)の結果、直前のプレーで流にノックオンがあり、得点は無効になった。

 

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(写真:スクラムを含めFW陣の健闘も見られた)

 それでも22分には得点を奪う。右サイドの深い位置でボールを持った松田が、グラバーキックを選択。ボールは相手選手に当たったものの、大外のWTB山田章仁(パナソニック ワイルドナイツ)に渡った。山田がインゴール右隅へ飛び込み、13-28。再びアイルランドに迫った。

 

 後半は日本が押し込む場面が目立ち、3万人近くが詰め掛けた会場を盛り上げた。終了間際にトライとゴールを許し、13-35で敗れた。これでアイルランドとの対戦成績は0勝9敗。一矢を報いることはできなかった。

 

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(写真:野口、渡邉ら若手の成長を評価したジョセフHC)

 ジョセフHCは「勝つことができなかったのは残念ですが、全員が役割を遂行できたことでジャパンの力を見せられた」と試合を総括した。「アイルランドは強く、チャンスをすべてモノにしていた」とジョセフHC。ゲームキャプテンを務めたリーチは「トップ3のメンタルのタフさを感じた。普通のチームであればハーフタイム、50分でバテてくる。最後の最後まで強く、暑さにも耐えた」と語る。ティア1の力をまざまざと見せつけられたかたちだ。

 

 下を向いてばかりではない。リーチは「戦術面を磨けばもっといい勝負ができる」と口にする。「ティア1との差を埋めることが我々の取り組みになる」とジョセフHC。今後は組織としての成熟度はもちろんのこと、リーチの言うように「1人1人のスタンダードを上げていかないといけない」こともカギを握るはずだ。

 

(文・写真/杉浦泰介)