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(写真:多くのタイトルを勝ち取ってきた髙橋<左>と松友だが、それに満足する様子は見られない)

 27日、日本バドミントン協会は「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン2017」(9月19日~、東京体育館)の開催概要発表記者会見を行った。会見にはリオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した女子ダブルスの髙橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)らが出席し、大会に向けた意気込みを語った。今年で36回目となるジャパンオープンは年間12戦開催されるBWFスーパーシリーズのひとつ。今大会から冠スポンサーにダイハツ工業株式会社が加わった。日本バドミントン協会は来年よりスーパーシリーズ(SS)からスーパーシリーズプレミア(SSP)にグレードが上がることも明らかにした。

 

 近年目覚ましい成績を挙げている日本バドミントン。今月だけでもインドネシアオープン(SS)の女子シングルスで佐藤冴香(ヨネックス)がSS初制覇を果たした。オーストラリアオープン(SS)では女子ダブルスで“タカマツ”ペア、男子ダブルスで園田啓悟&嘉村健士組(トナミ運輸)、女子シングルスで奥原希望(日本ユニシス)が優勝。SSの1大会で全5種目中3種目を日本勢が制したのは初の快挙だ。

 

 この躍進は1982年よりスタートしたジャパンオープンの存在も無関係ではないだろう。日本で唯一のSS大会。世界トップレベルのプレーを肌で感じられる貴重な機会である。中でも“タカマツ”ペアにとっても「思い入れのある大会」(髙橋)だ。14年大会の優勝は記念すべきSS初制覇だった。松友が「小さい頃からTVで観ていて“いつかこの舞台に立ちたい”と思っていました」と語るステージでの優勝は、その後の2人に大きな弾みをつけた。世界ランキング1位にまで上り詰め、SSファイナルズと五輪を制した。

 

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(写真:小学生からの寄せ書きが入ったメッセージボードを手にする選手たち<左から佐藤、嘉村、園田、松友、髙橋>)

 ロンドン五輪は日本の4番手で代表を逃した“タカマツ”ペアだったが、今や日本をリードする存在である。世界最強ペアに引っ張られるように国内女子ダブルスのライバルたちも力を付けてきた。2年前の世界選手権では福万尚子&與猶くるみ組(再春館製薬所)が銅メダルを獲得。今年に入って米元小春&田中志穂組(北都銀行)、福島由紀&廣田彩花組(再春館製薬所)がSS、SSPを制覇している。“タカマツ”ペアもオーストラリアオープンで、SS8度目の優勝となった。
 
 それでも彼女たちは強くなることに貪欲だ。「勝ち続けるのは難しいこと。それを当たり前のようにやれるペアを目指します」と松友。前衛で松友がゲームを作り、後衛の髙橋が決めるというのが“タカマツ”ペアの得意の型だ。それを封じられても点を取れるように松友の後衛、髙橋の前衛でのプレー向上が目下の課題である。

 

 9月のジャパンオープンに対しては髙橋が「まずは一戦一戦。自分たちのプレーを出し切って、その先に優勝という結果が見えたらいいです」と抱負を述べた。松友は「今年もこの舞台で試合をできることを楽しみにしています。1日でも1回でも多くコートに立てるように精一杯頑張りたいと思います」と意気込む。

 

 8月には世界選手権が控えている。これまで多くのタイトルを手にしてきたが、ベスト8にすら入ったことはない大会だ。世界ランキング1位、五輪金メダリストと手にした“タカマツ”ペアが新たな世界一を狙う。9月のジャパンオープンが再び凱旋試合となるか。

 

(文・写真/杉浦泰介)