170731iyo 高校、大学、社会人の女子硬式野球チームが集う「全日本女子硬式野球選手権大会」が8月5日から9日までの5日間行われる。愛媛県松山市のマドンナスタジアム、坊っちゃんスタジアムを舞台に全国から参加した32チームが日本一を争う。一昨年に準優勝を果たした愛媛・マドンナ松山は1回戦で南九州短期大学(宮崎)と対戦する。

 

 

 第2回から松山で開催されている全日本女子硬式野球選手権は地元企業の伊予銀行が大会をスポンサードしてきた。夏の風物詩、高校野球の甲子園ほどではないにしても「女子野球の夏は松山」というイメージは年々強くなっているはずだ。

 

 四国初の女子野球チーム・マドンナ松山は、第2回大会から毎年出場してきた。就任5年目を迎えた上田禎人監督(元西武)が指揮を執り、今年も悲願の日本一を目指す。しかし、今回は厳しい山に入った。2回戦で対戦する可能性がある神戸弘陵高校(兵庫)、準々決勝では昨年優勝の環太平洋大学(岡山)など優勝候補が同じ山に集った。だがマドンナ松山の鼻息は荒い。「負かしてやりたい」と選手同士でも口にしているという。

 

 今シーズンのマドンナ松山は前年のキャプテン笹原瀬奈ら主力がチームを去った。一昨年の準優勝メンバーから現在まで4人のメンバーが抜けたことになる。今シーズンからの新戦力で油谷深幸、森藤友綺には上田監督も即戦力として期待しており、クリーンアップでの起用を考えている。

 

 指揮官は「攻撃面は準優勝した時のレベルに近いと思っています」と新チームに手応えを感じているのは事実だ。今シーズンはここまで主に1~3番を固定。1、2番には竹内亜里香、渡邊涼子という足の速い2人を前に置く。特に竹内は50mを6秒台で走れる俊足である。3番には江嶋あかり。上田監督が「この子が活躍しないと勝てない」と語るキープレーヤーだ。

 

「野球センスがある。ミートが巧く、非常に柔らかい。バッティングは素晴らしいものがありますね。彼女の前にランナーを置く試合をしないといけません」

 指揮官が絶大なる信頼を寄せる江嶋は、今シーズンからキャプテンを任されている。

 

「スタッフみんなで話し合いをして全員一致でした。すごく責任感があって、冷静に判断できる」と上田監督。リーダーの資質としては十分だ。主力が抜ける危機感を覚えて新戦力の油谷、森藤に声を掛けたのは彼女である。さらに江嶋はチームの象徴的な選手でもあるのだ。

 

 なぜなら彼女はマドンナ松山の初期を知る人物だからだ。メンバーにいたその頃はまだ中学生だったという。その後、高校は九州の強豪・神村学園に進み、女子プロ野球に入った。地元に戻ってからは今治市から通いでマドンナ松山での練習に参加している。今シーズンで復帰4年目。もちろん一昨年の準優勝に貢献した1人だ。「チームの雰囲気は一昨年みたいになってきている」と手応えを感じている。

 

 新キャプテンはチームの長所をこう説明する。

「一回波に乗れば、相手が圧倒するぐらい盛り上がる。そこは武器だと思いますね」

 打線がバッテリーをいかに援護できるかが、上位進出のカギを握る。ポイントゲッターの江嶋や、新戦力の油谷、森藤に寄せられる期待は大きい。

 

「強豪チームと戦えるレベルまでにはきている」と指揮官も可能性は感じている。勝負は下駄を履くまで分からない。まだ見ぬ頂点へ――。マドンナたちの熱い夏が今週末スタートする。

 

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