現地時間日、世界陸上競技選手権ロンドン大会2日目が行われた。男子100m決勝はジャスティン・ガトリン(アメリカ)が9秒92で制した。2位には9秒94でクリスチャン・コールマン(アメリカ)が入った。今大会限りでの引退を表明しているウサイン・ボルト(ジャマイカ)は9秒95で3位だった。サニブラウン・アブデル・ハキーム(東京陸協)、ケンブリッジ飛鳥(Nike)、多田修平(関西学院大)はいずれも準決勝で敗退した。

 

 2日目の大トリを務めるのは、花形種目の男子100m。“世界最速”のスプリンターを決める戦いに世界中から耳目を集める。もちろん主役はロンドンの舞台をラストランに選んだボルト。5年前のオリンピックでは100m、200m、400mリレーの3冠を達成した地だ。決勝のスタート前、名前をコールされると会場から大きな歓声が送られた。

 

 長年のライバル・ガトリン、同胞のヨハン・ブレーク、そしてアメリカの新星コールマンらも順当に勝ち上がり、8人が決勝のスタートラインに立った。一瞬の静寂から号砲が鳴らされ、一斉に飛び出した。

 

 スタートは出遅れたボルト。だが、ここから爆発的な加速で差し切るのが彼の勝ちパターンでもある。最初に抜け出したのはコールマン。陸上大国が生んだ21歳のニュースターが新時代の幕開けを宣言するのか。

 

 ここから猛烈に追い上げてきたのがガトリンとボルトだ。グングン加速してコールマンをとらえて差し切ったのはガトリン。9秒92で優勝。2004年アテネ五輪以来の“世界最速”の称号を手にした。

 

 ガトリンは13年と15年の世界陸上、昨年のリオデジャネイロ五輪でボルトの後塵を拝し、いずれも銀メダルだった。長年のライバルに勝利し、レース後は感極まっていた。ボルトと抱擁をかわし、健闘を称え合う姿が印象的だった。

 

 一方のボルトは追い上げ届かず、3位に終わった。3大会連続4度目の世界陸上制覇は逃したが、通算14個目のメダル獲得。女子のマーリーン・オッティ(ジャマイカ)に並ぶ歴代トップとなった。

 

 伝説のスプリンター・ボルトは個人でのラストランでは有終の美を飾れなかったが、まだ400メートルリレーが残っている。ガトリン、コールマン擁するアメリカとの頂上決戦に注目が集まる。そして準決勝敗退に終った日本人スプリンターたちも、ボルトとの最後の直接対決で好勝負を見せてほしい。

 

(文/杉浦泰介)