DSC03410k加工済み2 肌を刺すようなまぶしい夏の日差し。柏レイソルの季節がやってくる。チーム名の由来はスペイン語の「レイ(Rey)」は王を意味し、「ソル(Sol)」は太陽を意味する。太陽の王が6年ぶりのJ王者に向けて、好調である。その柏の左サイドを支えているのがアカデミー出身のDF輪湖直樹だ。今季、輪湖はここまでのリーグ戦全試合に出場。左サイドバックの位置から惜しみなく繰り返す彼の激しい上下動は、柏の左サイドの生命線となっている。

 

 昨季、Jリーグ年間8位だった柏は現在、3位。首位を走るセレッソ大阪との勝ち点差は6。残り試合数を考えれば、優勝は十分狙える位置につけている。今季、4月16日のヴィッセル神戸戦から6月25日のコンサドーレ札幌戦まで9勝1分けの10戦負けなしを記録した。チームを率いる下平隆宏監督は「勝ち点60以上とアジアチャンピオンズリーグ出場」と掲げていた目標を「勝ち点70、J1優勝」に上方修正した。

 

 柏のサッカーを支えているのはアカデミー出身の選手たちだ。U-15、U-18などのいわゆる育成組織出身のプレーヤーのことである。現在、トップチームでは輪湖をはじめとしたMF大谷秀和、MF武富孝介、FW中川寛斗、GK中村航輔、DF中谷進之介、DF中山雄太らがプレーをしている。彼らアカデミー出身選手が今の柏のサッカーの根幹を築き上げていると言っても過言ではない。

 

 頭脳明晰かつ熱きハートを持ったサイドバック

 

 輪湖の気持ちを前面に押し出すプレーは観る者を魅了する。

 

 本人は自らの長所を「最後まで諦めないプレーです。うまさよりも泥臭さが持ち味。気持を前面に出せるところ」と語る。サイドバックにとって、気持ちの強さは極めて大事な要素になる。どんなに苦しい状況でも、チームのサイド攻撃に厚みを持たせるために最終ラインからオーバーラップをする。味方がボールを失えば、すぐさま帰陣。体力とメンタルの強さがモノをいうポジションだ。

 

DSC03381加工済み1 輪湖は続ける。

「サイドバックは他のポジションよりも自分に決定権があると思います。前に行くのか、いかないべきかを自分の意思で決めることができる。チームが勝っているなら、無理をして前にはいかない。負けている状況ならば、体力的に苦しくても積極的に攻撃にいく。自分の気持ちを前面に押し出しやすいポジションではありますよね」

 

 輪湖の持ち味はハートの熱さだけではない。味方がボールを持った時にポジション取りが巧みで、クレバーな一面ものぞかせる。心はホットだが、頭はクールな選手と言えるだろう。ポジショニングが巧みな面、上がるタイミングが絶妙だと伝えると、彼はこう返してきた。

 

「プロに行く前は自分の能力に自信がありました。ですが、プロになると自分よりもうまい、強い、身体能力が高い選手はたくさんいます。このまま続けていたら自分は埋もれてしまうのでは……。そう思ったんです。自分は身長もない。ずば抜けた武器があるわけではない。そうなるとオーバーラップのタイミングや出足の速さ、判断力に磨きをかけるしかない。そういう面で他の選手と“違い”を作っていかないと生き残っていけない」

 

 コンプレックスに目を向けて、1つ1つの課題を着実にクリアしてきたから、今の輪湖がある。頭脳明晰かつ熱いハートを持った人格形成は、どうやら親の影響もあるようだ。果たして27歳の左サイドバックは、いかにして幼少期を過ごしてきたのだろうか――。

 

(第2回につづく)

 

DSC03410プロフ<輪湖直樹(わこ・なおき)プロフィール>

1989年11月26日、茨城県取手市生まれ。宮和田FC-柏レイソルU‐12-柏レイソルU‐15-柏レイソルU‐18-ヴァンフォーレ甲府-徳島ヴォルティス-水戸ホーリーホック-柏レイソル。柏のアカデミーで育ち、U-15、U-17、U-20日本代表にも選ばれた。2008年に甲府でプロデビュー。14年、柏に“復帰”した。熱い気持ちと冷静さを兼ね備えた左利きの貴重なサイドバック。身長171センチ、体重65キロ。J1リーグ通算82試合出場4得点(8月7日現在)。

 

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(文・写真/大木雄貴)

 

 


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