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(写真:全16チームの代表者が集結した)

 7日、ラグビーのトップリーグは都内ホテルで2017-18シーズンに向けたプレスカンファレンスを行った。今シーズンは18日の開幕戦を皮切りに各チーム13試合戦う。リーグは2カンファレンス制を導入。レッドとホワイトの上位2チームずつがプレーオフへ進出する。日本選手権を兼ねたトーナメント戦で優勝チームを決める。

 

 15年目のシーズンは真夏からスタートする。昨季全勝でリーグ制覇を成し遂げたサントリーサンゴリアスは、開幕節でキヤノンイーグルスと東京・秩父宮ラグビー場で対戦する。主将のSH流大は「すべてのスタンダードを引き上げる。アグレッシブ&アタッキングラグビーを全面に押し出し、必ず優勝したい」と意気込んだ。沢木敬介監督は「去年とは立場が違う。全チームがサントリーをターゲットしてくるのはわかっていること。それをはね返すだけの力をつけて、去年より進化したサントリーにこだわりたい」と淡々と語った。

 

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(写真:キヤノンの植松副主将<左>は「楽しんでいただける試合になる」と好ゲームを予告)

 リーグ最多トライを挙げた昨季MVPのWTB中靏隆彰をはじめ、得点王のSO小野晃征ら主力はそのままに豪華なメンバーが新戦力に加わった。元オーストラリア代表CTBマット・ギタウは2015年W杯イングランド大会準優勝メンバー。ワラビーズ(ラグビーのオーストラリア代表の愛称)で100キャップを超える大物だ。新人では日本代表経験のある快速WTB松井千士、帝京大の8連覇に貢献したLO飯野晃司が入り、チームの厚みは各段に増した。

 

 昨季は前シーズンの9位からの逆襲。日本選手権も合わせれば17戦全勝で頂点に上り詰めた。だが指揮官のチームビルディングはまだ半ばだという。「僕らのターゲットはインタナショナルスタンダード。すべてにおいてまだまだレベルアップが絶対必要」と沢木監督。ハングリーなリーダーの下、復活した名門はリーグ連覇を狙う。

 

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(写真:「チームが変わっていくプロセスのスピードアップを助けたい」と新主将の意気込みを語るカフイ)

 屈辱のシーズンを終えて再起を図る名門。奇しくも昨季のサントリーと同じ状況で新シーズンを迎えるのは、東芝ブレイブルーパスだ。新監督にはリオデジャネイロ五輪7人制日本代表の前HCを務めた瀬川智広が就任。新キャプテンにはCTBリチャード・カフイが指名された。オールブラックス(ラグビーニュージーランド代表の愛称)で11年W杯ニュージーランド大会で優勝した経験を持つなど実績は申し分ない。

 

「優勝したのは過去の話。また一から作り直す」と話す瀬川監督にとって、カフイは「一年通して試合に出続けられるかどうか」と口にするキープレーヤーだ。一方のカフイは「チーム全員が80分間ファイトし続ける。1人1人が倒れることなく戦う」と誓った。日本一のマインドを取り戻すため、過去トップリーグを5度制した名門が牙をむく。東芝の開幕節は19日(対NECグリーンロケッツ)。そこで変わった姿を見せられるか。

 

 一昨季の王者パナソニック ワイルドナイツも王座奪還を虎視眈々と狙っている。昨季ベストフィフティーンに選ばれたFL布巻峻介を新主将に据え、ロビー・ディーンズ体制は4年目を迎える。布巻は「今まで培ってきたものは継続して、違う何かをプラスできるように昨シーズンからやってきました」と述べた。

 

 HO堀江翔太、SH田中史朗、WTB山田章仁らW杯戦士は健在である。新人は帝京大の指令塔SO松田力也が加入。キヤノンから大型LOの宇佐美和彦も入った。若手も育っており、サントリー同様に選手層は厚い。タレント集団を率いる名将ディーンズHCにとって久々に“チャンピオン”の看板を下して臨むシーズンだ。開幕を迎える心境は「スタートラインに立つときは皆一緒」と特に気負った様子は見られない。

 

 2015年W杯イングランド大会での日本の大躍進もあって、一昨季トップリーグの観客動員は過去最多の49万人を記録した。しかし昨シーズンは46万人と、その熱を持続することはできなかった。トップリーグ部の太田治部長は「50万人動員」を目標に掲げる。2年後の自国開催へ向けて、今度は国内から“うねり”を生み出したいところだ。

(文・写真/杉浦泰介)