現地時間9日、アメリカ・カリフォルニア州カーソンでボクシングの世界戦が行われた。WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチは王者の井上尚弥(大橋)が同級7位のアントニオ・ニエベス(アメリカ)を6ラウンド終了TKOで下した。井上はアメリカ進出初戦を6度目の防衛で飾った。メインイベントのWBC世界スーパーフライ級タイトルマッチは王者のシーサケット・ソールンビサイ(タイ)が、前王者で同級1位のローマン・ゴンサレス(ニカラグア)を4ラウンド1分18秒TKOで破った。シーサケットは4階級制覇のゴンサレスとの再戦を制し、初防衛に成功した。

 

 井上が、その“怪物”ぶりを本場アメリカでアピールした。

 

 1ラウンドから強気に攻め続け、相手を圧倒した。ジャブで機先を制し、効果的にボディやショートアッパーを当てていく。力の差は歴然だった。

 

 5ラウンド、残り1分半を切ったところで左ボディを当てて、追い込む。距離を取って逃げ切ろうとするニエベスをとらえ、再び左ボディが炸裂。これにはニエベスたまらずヒザをついた。

 

 6ラウンドは距離を詰め、仕留めにかかる井上に対して、ニエベスは終始逃げ回る展開だった。井上は両手を挙げて“かかってこい”とばかりにアピール。ニエベスの心は既に折れているように映った。

 

 案の定、ラウンド終了のゴングが鳴るとニエベス陣営が棄権を告げた。この瞬間、井上のV6が決まった。初進出となったアメリカでも、強さは変わらず。自らの拳でその価値を証明した。

 

(文/杉浦泰介)