今年の春、経営情報として2期連続(2015、16年度)の赤字を発表した愛媛FC。考えたくはないが、今年度も赤字を計上してしまった場合、クラブライセンスを失う可能性も出てきてしまうのだ。

 

 危機感を募らせる中、サポーターたちも、この難局を打開するべく、クラブ(事務局)と共に新しい取り組みに励んでいる。

 

 愛媛サポーターはこれまで、このコラムでもご紹介してきたように、街頭やショッピングモール、各スタジアムでのチラシ配り、県内イベント&地方祭における広報活動、また清掃ボランティア活動などを、今季も継続して行っている。

 

 爆発的な効果は見込めないが、継続することにより理解者や参加者、協力者も徐々に増えつつある状況だ。

 

 大金を使わず地道な活動を行う中、愛媛の認知度を高め、ホームゲームの集客数を伸ばすことができれば、クラブ存続への手助けに繋がるかもしれない。

 

 そんなサポーターたちが今季から積極的に取り組んでいるのは、ホームゲームの際のスタジアム内ボランティア活動だ。

 

 ホームゲームの運営には、事務局スタッフ以外に多数のボランティアスタッフさんのお手伝いが必要になる。例えば、試合会場内外の設営準備と試合後の撤収ボランティアである。入場口での案内役やチケットもぎりなどの受付スタッフ、会場でのイベント協力者やキャラクターのアテンド。また、仮設ブースの運営や公式記録の補助員ら、試合当日には数え切れない程の仕事や役割が存在し、その任に就くスタッフが必要となる。

 

 こうしたスタジアム内ボランティアの活動には毎回、愛媛を愛する方々や県内の学生の皆さん、下部組織の選手やスタッフなどが参加して支えてくれているのだが、どうしても必要人数が揃わない日もあるようだ。

 

 そんな場合は、臨時で外部から人を雇って運営に携わってもらっているという。その分、クラブにとっては出費となるわけで、1試合が微々たるものでも、1シーズンとなると、積もり積もって大きな額になるのである。

 

 この負担を軽減するべく、多くのサポーター有志が今シーズンからスタジアム内ボランティアに参加することになった。サポーターが加わり、ボランティアメンバーを増やして、臨時の雇用者数を減らす。また、その人たちの拘束時間を減らす(作業を短時間に収める)ことで、運営費用の節約が図れると考えたのである。

 

 現在、私たち応援コアブロックのサポーターは、様々なボランティアの中から、試合後に行われる「撤収ボランティア」を選択し参加させていただいている。試合が終了し、応援活動が終わると同時に、ボランティア参加者はスタジアム外周へと集合。応援の疲れも、そのままに会場周辺に設置してあるバナーや、のぼり旗を撤収する。

 

 その後、仮設ブースのテントやイベントの物品、テーブルや椅子などを片付ける。グッズ売り場の備品を倉庫へと搬入し、商品をトラックへと積み込めば、概ね作業は終了。約1時間、結構な重労働だがサポーターたちは、文句も言わず、クラブのために頑張って汗を流している。

 

 試合直後の作業ということで、試合の結果次第では、足取りが重くなったりする時もあるのだが、これまで参加者が減るという状況には至っていない。

 

 サポーター皆の強い意志と努力により現況、会場の撤収までの時間は、昨年と比べ大幅に短縮されている模様だ。この結果が上手く運営費用の節約に繋がってくれることを願うばかりである。

 

 今後もスタジアム内ボランティアの活動には、取り組んでいくつもりだ。しかし、ここで満足せず、更に私たちサポーターにできることを試行錯誤していきたい。そして愛媛のJクラブ存続のためにも、クラブと共にこの試練に立ち向かっていく。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。


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