2年に1度の米国対世界のプロゴルフ対抗戦、「ザ・プレジデンツカップ」が今月28日から開幕する。舞台は米ニュージャージー州のリバティナショナルGC。ニューヨークのマンハッタンが一望でき、自由の女神も眺めることができる優雅な風景を楽しめるコースである。

 

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 対抗戦と言えば伝統ある米国対欧州の「ライダーカップ」を思い浮かべる人は多いだろう。ゴルフのトップ選手がオーストラリアや南アフリカの南半球からも現れるようになったことで始まったこのプレジデンツカップも、1994年にスタートして今年で12回目を迎える。ただ、対戦成績は米国の9勝1分け1敗と圧倒的。世界選抜はオーストラリアのメルボルンで開催された1998年大会以来、勝っていない。

 

 今年こそ「ストップ・ザ・アメリカ」に期待が懸かる。その世界選抜の中心を担うのが言うまでもなく、“日本のエース”松山英樹だ。

 

 世界選抜は12選手のうち世界ランキングの上位10選手(9月4日時点)が自動的に選出される。世界ランク2位の松山は、トップで世界選抜入りを果たした。オーストラリアからはジェイソン・デイ、アダム・スコット、南アフリカからはルイ・ウーストハイゼン、シャール・シュワルツェルらメジャー制覇経験者をそろえる。

 

 メジャー制覇は時間の問題

 

 今季は松山の充実ぶりが目を引く。

 6月の全米オープンはメジャー自己最高位となる2位をマーク。1980年に青木功が同大会で2位となった日本人最高位に並んだ。

 

 8月の全米プロ選手権は2位で最終日を迎え、日本男子初のメジャー優勝を狙った。5バーディー、6ボギーの72とスコアを伸ばせず、優勝したジャスティン・トーマスと3打差の5位にとどまった。

 ホールアウト後、悔し涙を見せる一面もあった。しかしながらメジャーで優勝争いに食い込んだ経験は大きな財産となったはずである。

 

 全米プロの前に開催されたWGCブリヂストン招待は、最終日の61を叩き出しての逆転優勝劇。今季3勝目、米ツアー通算5勝目となった。

 

 今季はここまでトップ5に7回入っており、安定度を増したうえで世界ランキングを3位(9月18日時点)まで伸ばしてきた。

 

 また賞金獲得ランキングもジャスティン・トーマス、ジョーダン・スピース、ダスティン・ジョンソンの米国勢に続いて4位につけている。まさにトップ選手の風格を身につけており、メジャー制覇は時間の問題となっている。

 

 PGAツアーの年間王者がかかるプレーオフ第3戦、BMWチャンピオンシップでは47位に終わった。フェデックスカップ獲得ポイントランキングは4位から7位に下がったが、最終戦(ザ・ツアーチャンピオンシップ、9月21日開幕)への進出も決定した。松山は大逆転での年間王者の可能性を残しており、年間王者に輝けば1000万ドル(約11億円)のビッグボーナスも得られる。プレシデンツカップを前に“世界のエース”の称号を手にしたいところだ。

 

 来季に向けての弾みに

 

 一方の米国選抜はフェデックスカップの獲得ポイントで上位10人が自動選出される。

 世界ランキング1位のダスティン・ジョンソンを筆頭に全米を制したブルックス・ケプカ、全英を制したジョーダン・スピース、そして全米プロを制したジャスティン・トーマスと今年のメジャーチャンピオンがそろい踏みする。人気のリッキー・ファウラーも、もちろん参戦する。

 

 両キャプテンは世界選抜がニック・プライス(ジンバブエ)、米国選抜がスティーブ・ストリッカーと発表されている。

 

 今年の試合形式を説明しておこう。

 初日、2日目はフォアサムマッチプレー(2人1組で1つのボールを交互に打つ)が5マッチ、フォアボールマッチプレー(2人1組でそれぞれプレーし、良かったほうのスコアが採用される)が5マッチ。3日目はフォアサム、フォアボールがそれぞれ4マッチずつ行なわれる。そして最終日は、12対12の1対1によるマッチプレーが用意されている。

 計30マッチ。1マッチにつき勝利チームに1ポイントが与えられ、引き分けの場合は両チームに0.5点。獲得ポイントの多いほうが優勝となる。

 

 プレジデンツカップは賞金制度がないものの、出場者にはホワイトハウスへの招待など「名誉」がついてくるという。全英、メモリアルトーナメントなどの出場資格も得ることもできる。米国を倒せば、来季に向けていい弾みとなることは間違いない。

 

 松山自身、3度目の出場となる。

 韓国で開催された前回大会は初日にフォアサムに臨んで3アンド2で負けるなど、悔しい思いもしている。エースとして臨む今大会は意気込みも違うのではあるまいか。

 

 日本のエースから世界のエースへ――。

 世界トップの風格を身につけた松山英樹の活躍が、「打倒米国」のカギを握ることは間違いない。

 

放送スケジュール】(放送はすべてゴルフネットワーク

 

<ザ・ツアーチャンピオンシップ>

1日目:10月21日(木)翌2:00~翌5:00(生中継)

2日目:10月22日(金)翌2:00~翌5:00(生中継)

3日目:10月23日(土)翌1:30~翌5:00(生中継)

最終日:10月24日(日)翌1:00~翌5:00(生中継)

 

<ザ・プレジデンツカップ>

1日目:9月28日(木)翌1:00~翌7:00(生中継)

2日目:9月29日(金)23:30~翌7:00(生中継)

3日目:9月30日(土)20:00~翌7:00(生中継)

最終日:10月1日(日)24:00~翌7:00(生中継)

最大延長 1日目~3日目翌8:00まで、最終日翌9:00まで

 

※このコーナーではスカパー!の数多くのスポーツコンテンツの中から、二宮清純が定期的にオススメをナビゲート。ならではの“見方”で、スポーツをより楽しみたい皆さんの“味方”になります。


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