(写真:ペア結成11年目。息の合ったコンビネーションを見せる)

 23日、バドミントンのBWFスーパーシリーズ(SS)ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン5日目が東京体育館で行われた。女子ダブルスはリオデジャネイロ五輪金メダルの髙橋礼華&松友美佐紀組(日本ユニシス)が世界選手権銀メダルの福島由紀&廣田彩花組(再春館製薬所)を2ー0で下し、2年連続の決勝進出を果たした。混合ダブルスの保木卓朗(トナミ運輸)が廣田と組み、インドペアに2ー1で勝利し決勝へとコマを進めた。女子シングルスの世界選手権女王の奥原希望(日本ユニシス)はケガのため、準決勝を棄権した。男子ダブルスの井上拓斗&金子祐樹組(日本ユニシス)はSS初の決勝進出。日本勢は5種目中3種目でファイナリストとなった。

 

 3年ぶり2度の優勝へ向けて、視界良好だ。BWFランキング1位の髙橋&松友ペアが、同5位の福島&廣田ペアをストレートで下した。

 

(写真:「自分たちのいいプレーをしっかり出せた」と松友<左>)

 今年の世界選手権(イギリス・グラスゴー)で“タカマツ”ペアは過去最高成績の銅メダルを獲得。しかし、福島&廣田ペアはその上をいく銀メダルを手にした。直近の2試合では連敗中である。リオデジャネイロ五輪金メダル、BWFランキング1位を保持するペアにとって、内心は忸怩たる思いがあったはずだ。

 

「自分たちと同じくらいのレベルにいる。“失うものはない”と向かっていく気持ちで臨みました」と髙橋。レシーブで退かず、前でプレーを展開した。対戦相手の福島も「“負けたくない”という気持ちがあったように感じられました。それがすごくプレッシャーなりましたし、必死さがすごく伝わってきた」と振り返るほどだった。

 

 序盤から相手を圧倒し、ペースを握らせなかった。第1ゲームは21-11で先取。第2ゲームは中盤にリードされる場面はあったものの、追いつくと終盤の連続得点で振り切った。松友が「(相手は)テンポよく攻められると強い。いいリズムで攻めさせなかった。自分たちの攻める展開をつくれた」と口にしたように、主導権は“タカマツ”ペアにあったように映った。

 

(写真:白熱のラリー戦。連日の日本人対決に会場も大いに沸いた)

 現時点でのBWFランキング日本人2番手ペアを46分で料理した。「勝ったことよりも自分たちのプレーができたことが大きい」と髙橋。「今日は気持ちもプレーも前にいっていた」という。松友は「自分たちのプレーができれば負けるとは思っていない。今大会は反省を生かしつつ、少しずつ成長できていると思います」と述べた。

 

 昨年に続いての決勝進出。髙橋は「2年連続、地元でのSS決勝はそんなにないこと。ただ決勝がゴールではなく勝ち切ってこそ。2試合連続の日本人対決でお客さんも応援しづらかったと思う。決勝は声援を力に頑張りたい」と語った。松友も「自分たちのホーム。皆さんの力をいただいて、声援に応えられるように頑張りたいです」と続いた。

 

 3年前のSS初制覇から世界の頂点へと駆け上がっていった“タカマツ”ペア。ジャパンオープンのタイトルは更なる高みを目指す2人にとって、大きな弾みとなるはずだ。

 

 男子ダブルスは世界選手権でベスト16に入った井上&金子ペアがSS初のファイナルへとコマを進めた。所属先とナショナルチームでコーチを務める早川賢一が「今日は2人のいいがプレーが出ていた」と称える内容。井上が前衛でつくり、金子が後衛で連打した。

 

(写真:レシーブ力が上がったことにより、試合を冷静に展開できるようになったという)

 埼玉栄中から数えて約11年間、一緒のチームでプレーしてきた2人。ペアを離れることも、シングルスや混合ダブルスにエントリーしたこともあった。それを昨年の全日本総合選手権から男子ダブルスに専念した。2人を知る早川からも「技術的には本当に巧い」と潜在能力は認められていた。

 

 決勝の相手はウラジミール・イワノフ&イワン・ソゾノフ組(ロシア)。リオ五輪はベスト8、昨年全英選手権を制しているペアだ。全英の決勝では現役時代の早川が遠藤大由(日本ユニシス)と組んで敗れた相手だ。早川も「コーチのリベンジを」と檄を飛ばしたという。

 

 試合は第1ゲームを12-21で先取される苦しいスタート。共に180cmを超える長身ペアの強打に押された。第2ゲームは「相手の良さを消しながらうまく攻め続けられた」(金子)と言うように21-18でモノにした。

 

 ファイナルゲームは8-2とリードしながら、追いつかれた。シーソーゲームとなり、16-17。このままズルズルいかないところが成長の証と言える。4連続得点でマッチポイントを奪う。2点は返されたが、最後は逃げ切った。21-19と接戦を制し、先輩の早川&遠藤ペアもなしえなかったSS制覇へ王手をかけた。

 

(文・写真/杉浦泰介)