プロ野球がセ・リーグとパ・リーグに分立したのは1950年。つまり今年は2リーグ制となって68年目のシーズンだ。

 


 この間、セ・リーグで2連覇を果たした球団は盟主・巨人を除くと広島(1979~80年)、(2016~17年)と、ヤクルト(1992~93年)、中日(2010~11年)の3つ。3連覇以上はひとつもない。


 逆に言えば、それだけ巨人が強かったということだ。2リーグ分立以降の67年間で優勝36回。V率、実に5割3分7厘。1965年から73年にかけては前人未踏の9連覇を達成している。


 リーグ優勝だけでは満足できない。日本一になって初めて心の底から喜べた――。


 9連覇時代の選手は異口同音に、そう語っていた。


 言葉は悪いが、勝つためには手段を選ばない。それが巨人だった。古くは1948年オフの“別所引き抜き事件”。南海の待遇に不満を募らせていた30勝投手の別所毅彦は戦後(46~48年)、優勝から見放されていた巨人にとっては喉から手が出るほど欲しい人材だった。両者の思惑が一致しての移籍劇だったが、“紳士の球団”のイメージは著しく損なわれた。


 歴史は繰り返す。1978年11月21日、すなわちドラフト会議前日、巨人は作新学院球団職員という身分の江川卓と電撃契約をかわす。世にいう“空白の一日”だ。ドラフトはボイコット。この時は球界ばかりか世間からも批判を受けた。


 気の早い話だが、来季も広島がリーグを制すれば、セ・リーグでは巨人を除き、初の3連覇となる。盟主を自認する巨人にとっては球団史に残る“汚点”だ。こればかりは是が非でも阻止しなくてはならない。


 問題は今の巨人にそれだけの力があるかどうかだ。今季も26億円かけてFA補強を行ったが、投資効果は期待したほど得られなかった。運用能力にも疑問が残る。


 翻って広島の場合、選手層が厚く、主力の多くは伸び盛りだ。新黄金期に向けての、視界は良好と見る。

 

<この原稿は2017年10月9日号『週刊大衆』に掲載されたものです>

 


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