注目のドラフト会議まで、残すところあと20日あまり。言うまでもなく今年の最大の目玉は高校通算111本塁打の清宮幸太郎(早実)だ。

 

 しかし、カープは清宮を指名しない方針を既に打ち出している。「清宮はいい選手だけど、うちのスタイルじゃないね。スピードのある選手がほしい」とは松田元オーナー。赤いヘルメットをかぶった初々しい18歳を見たい気もするが、こればかりは球団の方針だから仕方がない。

 

 希少価値である和製大砲に人気が集まるのは必然だ。清原和博には6球団、松井秀喜には4球団が入札に参加した。

 

 だがカープに限っては、これまで52回行われたドラフト会議の中で、全国的に名の売れた高卒の大砲を1位で指名したことは1度もない。強いて言えば05年の鈴木将光(遊学館)と12年の高橋大樹(龍谷大平安)くらいだが、2人とも、いわゆる“ハズレ1位”。清原や松井とは比較にならない。飛距離よりもスピードを重視するのが昔からのカープの考え方だ。

 

 そうした事情もあって、主軸を打つ選手には“叩き上げ組”が多い。その典型が新井貴浩と松山竜平だろう。新井は98年のドラフト6位、松山は07年大学・社会人ドラフトの4位だ。入団後はともに2軍で厳しく育てられ、今の地位を掴み取った。

 

 さてカープの1位は誰か。甲子園で1大会個人最多本塁打記録となる6本塁打をマークした中村奨成(広陵)の指名が予想されるが、現場からは即戦力投手を望む声もある。下位指名の選手にも目を凝らしたい。未来の新井や松山がいるかもしれない。

 

(このコーナーは二宮清純が第1、3週木曜、書籍編集者・上田哲之さんは第2週木曜を担当します)


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