(写真:昨季無敗で2冠を達成した主力は今年も健在だ)

 7日、バスケットボール女子日本リーグ(Wリーグ)が各地で開幕した。9連覇中のJXーENEOSサンフラワーズは山梨クィーンビーズと対戦。JXーENEOSは第1Qから相手を圧倒し、28-11とリードを奪う。その後も点差を広げ、99-47の大勝。V10へ向けて好スタートを切った。そのほか昨季準優勝のトヨタ自動車アンテロープスはアイシン・エィ・ダブリュウィングスを93-54で下した。

 

 昨季無敗でV9を達成した女王が今年も圧倒的な強さを見せつけた。JXーENEOSが山梨・小瀬スポーツ公園体育館に乗り込み、圧勝した。

 

 今季よりHCに佐藤清美が復帰し、白鴎大からガードフォワード(GF)林咲希、桜花学園高からセンター(C)梅沢カディシャ樹奈が加入した。大幅な入れ替えはなくシーズンに臨んだ。スターティングメンバーはガード(G)吉田亜沙美、GF岡本彩也花、フォワード(F)宮澤夕貴、センターフォワード(CF)渡嘉敷来夢、C大崎佑圭。日本代表の面々がズラリと並ぶ豪華な陣容だ。

 

(写真:司令塔としてチームを引っ張る吉田。勝負所での得点も目立つ)

 第1Qからインサイドの強さ、縦への速さで試合を支配した。193cmの渡嘉敷、185cmの大崎、182cmの宮澤がリバウンドを取り、そして走る。「JXは走るバスケット。大きい選手も走れるのが強み」とキャプテンの吉田が口にするようにビッグマンもサボらない。約7分、山梨にスコアすることすら許さなかった。28-11と17点リードで、このQを終えた。

 

 第2Qはスタメン全員を下げ、宮崎早織、G山田愛、GF大沼美琴、F中村優花、CF石原愛子のベンチメンバーでスタートした。宮崎は持ち味のスピードを生かしたプレーで7得点を挙げたが、「ディフェンスは1対1でつけていなかった。足が動いてなくチームで点をとることができませんでした」と反省を口にした。

 

(写真:Wリーグデビューを果たしたルーキーの林<左>と梅沢)

 5分36秒でスターターがコートに戻ると3分以上失点ゼロ。前半は47-21だった。吉田は「ベンチメンバーが出たときもスタートと同じくらいのバスケットをやらないといけない。今日は課題がたくさん残ったゲーム」と厳しかった。大沼は「スタートのメンバーが流れをつくっているのに悪くしてしまった」と悔いた。

 

 後半もほぼJXーENEOSのペースだった。第3Qを27-14、第4Qを25ー12と点差を広げ続けた。ルーキー2人も10分以上のプレー機会が与えられた。林はスリーポイント2本とスティール2本で、梅沢は9得点12リバウンドと持ち味を発揮した。トータルスコアは99-47と倍以上の差をつけて勝利した。

 

(写真:積極的にボールを奪取にいく大沼。チーム最多の28分出場)

 圧勝にも満足している者はいなかった。その飽くなき向上心が女王の座を盤石なものにしている。リバウンドは63-36と圧倒しているが、吉田は「相手に取られ過ぎた」と納得してはいない。試合後のミーティングでも「反省の方が多かった」(宮崎)という。

 

 チームをまとめる吉田は語る。「1人1人の勝ちたい気持ちが強い」。それは主力メンバーに限ったことではない。大量リードを奪い、大勢がほぼ決していた第4Qで大沼は高い位置から激しいプレッシングをかけ、ボールを何度も奪った。大沼は「練習通りのプレーです」と話したが、気持ちの見えたプレーだった。

 

 貪欲にボールを、そして勝利を掴みにいくJXーENEOS。V10を阻むものは今のところ、見当たらない。

 

(文・写真/杉浦泰介)