ニュージーランド代表とハイチ代表が物足りなかったのか、それともハリルジャパンが物足りなかったのか。

 

 筆者の答えは、後者である。

 11月に大陸間プレーオフに臨むニュージーランド代表はモチベーションも高く、日本は終了間際に倉田秋のゴールで何とか2-1で勝ち切った。ハイチ代表は北中米カリブ海4次予選で敗退しているとはいえ、身体能力には目を見張るものがあった。日本は3点を奪われながらも追いついてのドロー劇だった。

 

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は試合後の会見でも怒りは収まっていなかった。

「私の就任から、こんなに良くない試合は見たことがない」

「サポーターに謝罪したい。このような試合をすると説明がつかない。いろんな面でレベルの低いものを見せてしまった」

 

 ニュージーランド代表、ハイチ代表は実力的に言えば、日本よりも下に位置するだろう。ならば別にやらなくてもいい試合だったのかと聞かれたら、そうはまったく思わない。ボール支配率が高まるなら、パスワークからの崩しにこだわっても良かった。またハイチ代表は後半に入ってシステムを変えてきたのだから、日本もチェンジしてもいいシチュエーションだった。実際「わたしの頭の中には3つの異なるオーガナイズがある」と指揮官は語っており、2ボランチ、1ボランチの形に加えて、もう一つのオーガナイズを試してもよかった。

 

 チームが強くなるには、強い相手とのマッチメークが望ましい。とはいえ毎回、強豪と戦えるわけではない。強豪との対戦でなくても、成長するためのテーマを設定すればいいだけのこと。今回であれば、それこそ「サバイバル」「ボールを保持したときの崩し」「オプションの追加」だった。テストを行うにはニュージーランド代表もハイチ代表も悪くない相手だったと言える。勝利に対する執着心は彼らから十分に感じられた。

 

 日本サッカー協会は今回、難しいマッチメークを強いられた。10月は各大陸でロシアW杯最終予選のクライマックスを迎えていたためだ。

 

 4年前は10月に対セルビア代表、ベラルーシ代表、11月に対オランダ代表、ベルギー代表と2カ月連続で欧州遠征を敢行している。今回もその路線を目指せば良かったのではとの意見もあるだろうが、前回は6月でアジア最終予選の全日程が終了したため、8月にウルグアイ、9月にグアテマラ、ガーナと国内で3試合を行っている。あくまで国内と遠征のバランスを考えてのマッチメークであった。

 

 ハリルジャパンは来年3月の国際Aマッチデーも、海外遠征を第一希望としているようだ。その可能性もあって10月は国内の親善試合をチョイスしたということだろう。

 

 今回の対戦相手はいくつか候補を並べたうえで、ハリルホジッチ監督の意向が反映されたという。そして過去、日本が国内の親善試合で大勝している相手は基本的に対象外になっているとの情報もある。いろいろと考慮されたうえでの相手選びであった。

 

 国内の親善試合に意義はある。

 入場料収入、スポンサー収入、テレビ放映権……こういった資金が強化費、遠征費、W杯でのキャンプ地などに充てられることを考えれば、国内の親善試合の充実を図っていく必要がある。

 

 過去6戦4敗と、いいようにやられているウルグアイ代表などと組めれば一番いいのだが、毎回呼べるわけではない。UEFAネーションズリーグが来年開幕すれば、欧州勢を呼ぶのも難しくなるだろう。ハイチ代表のような未知のチームを招待する機会が増えてくるかもしれない。

 

 ただ大切なのは、対戦相手に応じた明確なテーマ設定になる。今回の2連戦を有益に活かせなかったのは、至極残念である。


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