28日、ヤフオクドームでプロ野球の日本シリーズが開幕した。第1戦は福岡ソフトバンクが10対1で大勝し、2年ぶりの日本一に向けて好発進。ソフトバンクは横浜DeNAの先発・井納翔一を初回から攻め、5回まで9安打10点と中盤で試合を決めた。DeNAは打線が沈黙、ソフトバンクの先発・千賀滉大に散発4安打に抑えられた。

 

◇第1戦
 DeNAルーキー細川、シリーズ初打席初ヒット(ソフトバンク1勝 ヤフオクドーム)
横浜DeNA 1 = 000|010|000
福岡ソフトバンク 10 = 120|070|00×

勝利投手 千賀(1勝0敗)
敗戦投手 井納(0勝1敗)
本塁打 (ソ)長谷川1号2ラン

 

 前日に行われた監督会議でソフトバンク工藤公康監督が提案した予告先発をアレックス・ラミレス監督が拒否。今年の日本シリーズは予告先発なしで開催されることとなった。だが第1戦はソフトバンクが千賀、DeNAが井納と先発は大方の予想どおり。初回、千賀は2つのフォアボールで2死一、二塁とピンチを招いたが、5番・宮﨑敏郎をサードゴロに打ち取り無難な立ち上がりを見せた。

 

 一方、DeNAの先発・井納は先頭打者の柳田悠岐にセンター前に運ばれて、無死一塁。2番・今宮健太には送りバントを決められ、さらに3番のアルフレド・デスパイネにツーベースを打たれて、いきなり1点を先制される苦しい立ち上がりとなった。

 

 井納はキャッチャー嶺井博希が構えるミットとは反対のいわゆる逆球が多く、初回から不安定なピッチング。2回も先頭の松田宣浩にレフト前に運ばれ、続く長谷川勇也にはこれも逆球のアウトコース高め、甘く入ったストレートを痛打され、右中間のホームランテラスに飛び込む2ラン。2回を終えてソフトバンクが3対0とリードした。

 

 千賀がランナーを出しながら後続を打ち取るピッチングを見せたのに対して、井納は3回まで先頭打者に出塁を許し、常にライナーを背負うピッチングとなった。

 

 3対0とソフトバンクがリードして迎えた5回表。ベンチ前で円陣を組んだDeNAは、先頭打者の8番DH・乙坂智が痛烈な当たりを放ち、これをセカンド明石健志が弾き、無死一塁。続く倉本寿彦のライト前の当たりで乙坂は果敢に三塁を狙い、無死一、三塁とチャンスを広げた。

 

 ここでトップの桑原将志はショートゴロ。結局、DeNAはこの間に1点を返しただけで、柴田竜拓、ホセ・ロペスが外野フライに倒れ、3対1。その裏、流れは一気にソフトバンクに傾むくこととなった。

 

 5回裏、先頭打者の今宮健太がフォアボールで歩くと、デスパイネの打席で盗塁を決めた。キャッチャー嶺井の送球がワンバウンドになりセンターに達する間に今宮は三塁へ。ここでデスパイネはセンター前に弾き返して1点を追加。4番・内川聖一はライトフライに倒れたものの、中村晃がフォアボールを選び1死一、二塁。続く松田がセンター前ヒットを放ち満塁となったところで、DeNAベンチは井納を諦め、2番手・田中健二朗をマウンドに送った。

 

 2回からブルペンで準備していた田中だが、コントロールに苦しみ代打・川島慶三をストレートのフォアボールで歩かせて押し出しで5対1。明石を内野ゴロに打ち取ったものの、甲斐拓也にもフォアボールを与え、これでスコアは6対1となった。打順はトップにかえり、1番・柳田のライト前ヒットで川島、明石が生還。さらに2番・今宮は田中のカーブを狙い撃ち。センターオーバー、フェンス直撃のタイムリーを放つ。ソフトバンクはこの回、一挙、7点。10対1とゲームの大勢を決した。

 

 大量リードに守られた千賀は7回まで投げて、4安打1失点。8回は森唯斗、9回は嘉弥真新也、寺原隼人が投げ、日本シリーズ初戦を勝利で飾った。

 

 工藤監督は「初回、先制したものの次の得点がどっちに入るかで流れが変わると思っていた。そこで出た長谷川のホームランが効果的だった。よくぞ打ってくれたという気持ちです」とゲームを振り返った。

 

 敗れたDeNAは3番手以降の須田幸太、平田真吾、砂田毅樹のブルペン陣がソフトバンク打線をノーヒットに抑えたことが収穫。また9回2死から代打で登場し、寺原の初球をセンター前に弾き返したルーキー細川成也の存在も面白い。細川には第2戦、DH起用の可能性を含め、流れを変えるラッキーボーイ的役割が期待される。ソフトバンクが先勝した日本シリーズ第2戦は、明日29日、ヤフオクドームで18時30分にプレーボール予定だ。