(写真:新調されたウェアを纏い、新シーズンへの意気込みを語る髙梨<手前>)

 31日、全日本スキー連盟(SAJ)は都内で会見を行い、女子ジャンプの髙梨沙羅(クラレ)、男子ジャンプの葛西紀明(土屋ホーム)、男子ノルディック複合の渡部暁斗(北野建設)ら日本代表有力選手が出席し、2017-18シーズンに向けた抱負を語った。SNOW JAPAN(全日本スキーチームの愛称)を率いるSAJの北野貴裕会長は「平昌で光り輝いてくれるようサポートしていきたい」と挨拶した。SAJの会見では例年通り、新ユニホームも発表。日の丸をイメージし、赤を基調としたウェアが披露された。

 

 平昌五輪まで101日――。新しい“戦闘服”を纏い、壇上に上がったSNOW JAPANの選手たちはそれぞれの想いを口にした。

 

 髙梨は昨季W杯で2年連続4度目の総合優勝を達成。通算勝利数は歴代最多の53に並んでいる。今季は新記録更新への期待も集まる。「ソチ五輪の悔しい思いをバネに練習を積んできました」と髙梨自身もリベンジに燃えている。優勝候補と目されながら、4位に終わった悔しさは今も忘れていない。「自分のベストを尽くし、いい結果に持っていければいい。最後は自分を信じて飛びたいと思います」。果たして平昌のシャンツェの女神は彼女に微笑むのか。
 

(写真:「(五輪代表に)選考されることは考えていません」と、渡部が狙うのは頂点のみ)

「僕は金メダルを獲ることしか考えていません」。No.1を目指すのは渡部も同じだ。ソチ五輪で銀メダルを獲得したものの、今年の世界選手権でも銀メダル。W杯総合2位は3度経験した。渡部は「No.1と認めてもらうにはオリンピックの金メダルは当然のことながら、W杯でも勝ち続けなければいけない。渡部暁斗=No.1というイメージを付けられるようにベストを尽くしたいです」と“シルバーコレクター”の返上を狙う。彼の照準は世界が認める“キング・オブ・スキー”1点に絞られている。

 

 出場が決まれば8度目の五輪となる葛西は「こんなにたくさん出れるとは思っていなかった。回数を重ねる度にプレッシャーと不安が募ってくる。そこは熱い気持ちで切符を獲りたいと思っています」と意気込んだ。橋本聖子(現日本スケート連盟会長)と並ぶ日本人五輪出場記録の更新がかかるレジェンド。今シーズンも最年長記録を更新できれば、自ずと偉業へ近づくはずだ。「まずはW杯で勝つことをイメージして頑張ります」。45歳のジャンパーは飛行を続ける。

 

(写真:会見に登壇した代表有力選手<左から髙梨、渡部、石田、戸塚、松本、葛西>)

 タレント豊富なSNOW JAPAN。新星も誕生している。スノーボード・ハーフパイプの戸塚優斗(ヨネックス)だ。今シーズンのW杯開幕戦で初制覇。初出場ながらソチ五輪銀メダリストの平野歩夢(木下グループ)らを押し退けての優勝である。まだあどけない16歳。戸塚は「今までテレビで活躍するのを見てきた。同じ場所に立って話せているのが光栄です」と謙虚に話した。

 

 3年前のソチ五輪で7個(銀4、銅3)のメダルを獲得したSNOW JAPANには、平昌での更なる飛躍が期待される。昨シーズンの各世界選手権でもモーグルの堀島行真(中京大)が2冠、スキー・ハーフパイプで小野塚彩那(石打丸山スキークラブ)が金メダルを手にするなどメダルを量産した。平昌五輪の表彰台へ――。ノリに乗っているSNOW JAPANが高く舞う。

(文・写真/杉浦泰介)