(写真:この日が代表初キャップとなった姫野は試合終了間際に初トライも記録)

 ラグビーのリポビタンDチャレンジカップ2017が4日、神奈川・日産スタジアムで行われ、ワールドラグビーランキング11位の日本代表(愛称ジャパン)が同3位のオーストラリア代表に30-63で敗れた。ジャパンは開始早々に失点を許すなど、前半だけで5トライを喫した。後半に入り、3トライを返したものの、オーストラリアの前に力負けした。

 

 2年後のW杯で決勝の舞台となる横浜。サッカーJリーグの横浜F・マリノスの本拠地として知られる日産スタジアムで、ジャパンはW杯優勝候補の一角オーストラリアと対戦した。ワラビーズの愛称で知られ、W杯で優勝と準優勝を2度ずつ経験している。ティア1と呼ばれる強豪中の強豪だ。世代交代の最中とはいえ、この日のスタメンに50キャップ以上の選手を7人揃えるなど一線級がズラリ。対するジャパンはイングランドW杯のメンバー7名がスタメンに入り、初キャップのLO姫野和樹(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)や東海大4年のWTB野口竜司ら若手を起用した。

 

(写真:松島<左>らバックス陣がラインブレイクする場面もあったが、トライには繋がらなかった)

 序盤から猛威を振るったのはオーストラリアだ。“観光気分”は感じさせない。5分にCTBサム・ケレヴイ、10分にはWTBヘンリー・スパイトがトライを奪った。2つのコンバージョンキックはSOリース・ホースが着実に決めた。ジャパンはいきなり追いかける苦しい展開でスタートした。17分にSO松田力也(パナソニック ワイルドナイツ)のPGで3点を返したものの、23分にはモールからHOタタフ・ポロタナフにトライを奪われた。さらにはバックス勢にラインをことごとく破られる。32分と40分にCTBテヴィタ・クリンドラニにトライを許した。前半だけで大量5トライを喫し、3-35で試合を折り返す。

 

「前後半で内容が異なった。前半は規律守れず、苦しいスタート。後半は力量を見せれた」とジャパンのジェイミー・ジョセフHCが振り返ったように後半は反撃を見せる場面もあった。4分にLOヴィンビー・ファンデルヴァルト(NTTドコモレッドハリケーンズ)が押し込んでトライを奪うと、9分と15分には松田のPGで16-42と点差を詰めた。だが、16分にクリンドラニからこの日3本目のトライ、ハットトリックをされると、22分と25分にもトライを許し、大勢は決した。

 

(写真:全体としては力負けの印象だが、スクラムで押し切るシーンも)

 2004年から実数をカウントするようになってから代表戦最多観客動員となる4万3621人の前で、一敗地に塗れるわけにはいかない。29分にはラインアウトからのモールで力勝負を挑み、最後はNo.8アマナキ・レレイ・マフィ(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)がインゴールに飛び込んだ。試合終了間際にはスクラムで押して、姫野がトライを奪った。いずれも途中出場のSO田村優(キヤノンイーグルス)がコンバージョンキックを決め、30-63でノーサイド。倍以上の点差をつけられた。

 

「ターンオーバーが多かった。苦戦したのは体格の大きい選手にオフロードを防がれた。トップ4相手の試合はタフになると改めて認識させられた」と指揮官。キャプテンのFLリーチ・マイケル(東芝ブレイブルーパス)は「規律が足りなかった。良い部分もたくさんあったが残念」と悔しがった。ワラビーズ相手に完敗したが、リーチの言うように見せ場が全くないわけではなかった。松田、姫野ら若手はミスもあったが、アタックの部分では持ち味を発揮した。

 

 ジャパンの今後はフランス遠征を行い、18日(現地時間)にワールドラグビーランキング13位のトンガ代表、25日(同)には8位のフランス代表と対戦する。2017年の代表戦を締めくくるテストマッチ2連戦。自国開催のW杯まで、あと2年もない。まずは来年へ向けて、弾みをつけたい。

 

(文・写真/杉浦泰介)