サッカー日本代表(FIFAランキング44位)は10日、ブラジル代表(同2位)と親善試合を行ない、1対3で敗れた。試合は前半10分、FWネイマール(パリサンジェルマン)にPKから先制点を奪われた。その後、17分にDFマルセロ(レアル・マドリード)、36分にはFWガブリエル・ジェズス(マンチェスターシティ)に得点を許す。後半17分、左CKからDF槙野智章(浦和レッズ)のヘディングで1点を返すが、終始ブラジルペースで完敗した。日本は15日(日本時間)にベルギー代表(同5位)と親善試合を行なう。

 

 長友、Aマッチ100試合出場達成(リール)

日本代表 13 ブラジル代表

【得点】

[ブ] ネイマール(10分)、マルセロ(17分)、ガブリエル・ジェズス(36分)

[日] 槙野智章(62分)

 

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督就任以降、強豪国と初対戦だった。得意の堅守速攻を披露できずに試合を終えてしまった。

 

 ビデオ・アシスタント・レフェリー(ビデオ判定)が採用された試合で、日本はその制度に泣く。前半8分、スローインでプレーが切れた際に主審が試合を止め、サイドラインのモニターで映像を確認した。対象場面は1分前のブラジルの左CKだった。競り合いの中でDF吉田麻也(サウサンプトン)がペナルティーエリア内でMFフェルナンジーニョ(マンチェスターシティ)に手を掛けて倒したとジャッジされた。このPKをネイマールが落ち着いてゴール右に流し込み、先制点を奪われた。

 

 たて続けに日本は失点を喫する。17分、左CKを井手口陽介(ガンバ大阪)がクリアーミス。このこぼれ球にマルセロが反応。ペナルティーエリア外の左サイドから利き足と逆の右足アウトにかけたミドルを放たれる。強烈なシュートはゴール左に突き刺さった。日本はリードを2点に広げられた。

 

 36分には、お手本のようなサイド攻撃で失点してしまった。ゴール中央から右サイドに開いたウィリアン(マンチェスターシティ)にボールが渡る。ウィリアンがタメをつくりオーバーラップしたDFダニーロ(マンチェスターシティ)をシンプルに使う。ダニーロが速いグラウンダーのクロスを入れると、ファーサイドに待ち構えていたジェズスに左足インサイドで難なく押し込まれた。

 

 3点を失ってからは、日本はブラジルに遊ばれるようにボールを回された。これまで培ってきた “堅守速攻”が全く機能しないまま、試合を折り返す。

 

 後半に入り、日本もサイドを使い徐々に押し込むようになる。肝心なシュートまで持っていけないものの、16分に日本が反撃に出る。左CKからファーサイドにポジションを取るDF槙野智章(浦和レッズ)がヘッドで合わせて1点を返した。

 

 しかし、得点以降もブラジルにボールを持たれ、日本はペースを握れなかった。空いたスペースにうまくパスを流し込まれのらりくらりと展開された。ブラジルも目立ったチャンスは作れなかったが、日本にはボールを奪うきっかけさえほとんど与えられないまま、時間だけが過ぎていく。

 

 後半アディショナルタイム、流れの中でチャンスを迎える。途中出場のMF森岡亮太(ワースランドベフェレン)のスルーパスに抜け出したDF酒井宏樹(マルセイユ)が右サイドからグラウンダーのクロスをニアに供給。このボールに後半から投入されたFW浅野拓磨が右足で合わせるもののシュートミス。セットプレー以外の唯一の決定機をものにできなかった。

 

 世界を相手にするためにこれまで培ってきたポゼッションサッカーを捨てて、カウンターサッカーに切り換えた日本。しかし、今回の戦いでそのサッカーもまだまだ世界仕様には程遠いことを露呈した。このまま堅守速攻スタイルを貫くのか、それとも再びポゼッションに舵を切るのか……。今後の指揮官の判断に注目したい。

 

(文/大木雄貴)