(写真:ランニングフェスを開催するなどグラスルーツに力を入れている)

 東京マラソンをはじめとする市民マラソンをきっかけにして、日本中でブームを巻き起こしているランニング。アディダスのウェアやギアを身に付けたトップランナーや市民ランナーを目にすることも少なくない。だが、アディダスランニングのアクションは、こういった「シリアスなランナー」に対してだけ行っているのではない。初心者やランニングが苦手な人にも目を向けているのだ。

 

 

(写真:アディダスは「スポーツの力」を通じ、アクションを仕掛けていく)

 アディダスランニングのコンセプトはこうだ。

「THROUGH RUNNING WE HAVE THE POWER TO CHANGE LIVES」(ランニングを通して、私たちには人生を変える力がある)

 

 そのコンセプトを体現するのがランニングコミュニティ「adidas Runners of Tokyo」(AR Tokyo)である。新感覚のランニングイベントを開催し、ランニングの新たな魅力を参加者に伝えている。

 

 そもそも「adidas Runners」(AR)は、ドイツのベルリンやイギリスのロンドンなど世界20カ国70都市で展開しているグローバルなランニングコミュニティである。その日本支部、東京支部と言える存在がAR Tokyoだ。2016年9月にスタートすると、1年でメンバー数は2000人を超えた。

 

 孤独なイメージを払拭

 

(写真:ARのランニングシャツはシンプルなデザインで合わせやすい)

 ARではランニング初心者から、フルマラソンで3時間以内を目指すサブ3ランナーまで、様々なランナーのニーズに合わせたユニークで幅広いセッションを用意している。プロのランニングコーチによる指導やフィットネスに特化したものもある。

 

 アディダスジャパンのマーケティング事業本部ランニングビジネスユニットブランドコミュニケーションシニアマネージャーの安藤亮平氏は、こう抱負を口にする。

「誰でも参加できるというのがポイントです。もうひとつは無料であること。走る楽しさを感じてもらいたい。それが第一にあります」

 

 ランニングやトレーニングには孤独なイメージが伴う。アディダスはそうした印象を消そうとしている。もっと楽しく、愉快なものだと。そのイメージづくりの一環として、たとえば参加者には無料でARのロゴ入りオリジナルランニングTシャツをプレゼントしている。お揃いのデザインで走れば、スポーツチームのユニフォームのように自然と仲間意識は芽生えるという寸法だ。

 

(写真:ARの魅力を熱弁する男女キャプテン)

 AR Tokyo男子のキャプテンを務める高木聖也氏が「人生が豊かになります。日々が楽しくなって、同じ志を持った仲間もARでつくれると思います」語れば、女子キャプテンの岩崎志保氏は明るい口調でこう述べる。

「私は元々、走るのが苦手なタイプでした。ARと出会って仲間たちと走っていると思うと頑張れる。ベルリンマラソンに出たときも世界中からARのTシャツを着ている人がたくさん参加していて、頑張って走れました」

 

 競争から“共走”へ――。ランナーたちの絆は国境をも越える。一方で、アディダスはビギナーにも門戸を開放する。安藤氏は語る。「たとえば初めて参加される方限定のセッションを設けるなどハードルを下げていくことは考えています。コーチも初めての方がいらっしゃったら積極的に声を掛けにいくなど、初参加でも入りやすい環境をつくるように心がけています」

 

 “一体感”を体現したフェス

 

(写真:ライトアップされたゴールエリアで参加者を待つ)

 AR Tokyoはこれまで都内42.195kmを青信号のみで走破するシティマラソン「GREEN LIGHT RUN TOKYO」をはじめ、3人制ランニングバトル「RUNNING 3 on 3」、ニューヨークのトレッドミルスタジオ「MILE HIGH RUN CLUB」のプログラムを体験できる「adidas-STUDIO X」など画期的なランニングイベントを開催してきた。

 

 11月11日にはアディダス史上最大規模の約2000人が参加した次世代型ランニングフェス「TOKYO RUN +5 CHALLENGE」を主催した。中国、韓国のほかヨーロッパなど他国のARからもエントリーがあった。

 

(写真:イベント前にインタビューに答える高橋氏<左>と坂口<右>)

 内容は明治神宮外苑総合球技場内の特設会場を発着点に5人1組となり、東京都内のランニングコース(4km、6km、8km、12km)を駆け抜けるというもの。ゴールタイムに加え、各会場の用意された5つのアクティビティでのポイントを競い合うのだ。


 お笑いコンビのオリエンタルラジオの藤森慎吾、ファッション雑誌JJ専属モデルの有末麻祐子らが参加。アディダス契約アスリートの元プロ野球選手の高橋尚成氏、ビーチバレーの坂口佳穂などが各アクティビティのサポーターに回ってイベントを盛り上げた。

 

(写真:いちょう並木を走る参加者。夜になると雰囲気も変わる)

 外苑いちょう並木、青山通り、虎ノ門ヒルズ、六本木のアークヒルズ……。都内のオシャレなスポットを巡りながらのランニング。落ち葉散るいちょう並木で参加者は秋を満喫したはずだ。

 

 他にもこんな仕掛けがあった。ランニング中、各会場での5つのアクティビティが参加者を楽しませた。こういうものだった。「Touch Out」は1vs.5の鬼ごっこ。「Synchro Run」は5人6脚でタイムを競うもの。「One Dribble」はゴムベルトで結ばれた5人でサッカーボールをドリブルし、タイムを争う。「Jump Rope」は回数を競う大繩跳びなのだが、1人あたり4kgの重りを着用する条件付き。「Brain Pump」は筋トレとクイズがミックスした種目だ。

 

 レース後、有末は「アクティビティがあって、みんなでわいわい楽しくできました」と頬を緩めた。藤森も「他の参加者の人たちとも自然と声を掛け合ってハイタッチしました」とイベントを満喫した様子。まさにチームの一体感、ARの一体感を堪能できたのではないだろうか。

 

(写真:優勝チームには釜山でのランニングイベント招待券が贈呈)

 レースが終わればアフターパーティーだ。そこではトークショーのほか、飲食スペースも設置されており、褒美の1杯を美味しそうに飲む参加者の姿が印象に残った。会場内ではDJが音楽を響かせる。トレーナーの中野ジェームズ修一氏によるフィットネスプログラム「GYM & RUN」もあり、イベント会場はフェス会場に様変わりした。多くの参加者がアフター・ランニングを楽しんでいた。

 

 アディダスはランニングのグラスルーツに向けて、これからもARと共に走り続ける。


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