厳しいグループに入ったという印象である。

 

 12月1日(現地時間)にモスクワで開催されたロシアワールドカップの組み合わせ抽選会。第4ポットの日本はライバル韓国と最後まで残り、グループF(ドイツ、メキシコ、スウェーデン)とグループH(ポーランド、コロンビア、セネガル)の2択となった。ドロワーの元イタリア代表DFファビオ・カンナバロがグループFに韓国を引いたことで、日本は残ったグループHとなった。

 

 グループFは優勝候補大本命のドイツを筆頭に、強豪メキシコ、そして強固な守備を誇るスウェーデンと、突破するのは“超難関”だ。ドイツの実力を今さら語るまでもないが、メキシコは北中米カリブ海を1位で突破しており、11月の親善試合では日本と対戦するポーランドに1-0で勝利している。そしてスウェーデンは欧州プレーオフでイタリアを無失点に封じて勝ち上がった。韓国メディアが「死の組」と表現するのも当然である。

 

 残り物に福があったのは確かだ。韓国と比べればまだいいグループに入ったとも思えるが、グループHの相手3チームとも世界的なアタッカーを擁するだけに“難関”であることに変わりはない。

 

 まずは第1ポットのポーランドである。

 2014年10月にEURO(欧州選手権)予選、ホームでドイツに2-0で勝利したニュースは大きなトピックになった。EURO本大会でも過去最高のベスト8に進出。そしてW杯欧州予選E組も順当に1位で突破している。

 

 チームを引っ張るのがキャプテンでエースのロベルト・レバンドフスキ(バイエルン・ミュンヘン)である。裏への飛び出し、ポストプレーと状況に応じて何でもこなせる万能型。左右ともにキックの精度が高く、シュートのエリアも実に広い。クロスの合わせ方は抜群で、フリーキックを蹴らせても一流だ。欧州予選でチームの得点の半数以上となる16ゴールを叩き出している。このレバンドフスキを完璧に封じるのは、至難の業だと言っていい。

 

 続いて第2ポットのコロンビアに対しては、1-4と大敗を喫した前回ブラジルW杯での苦い記憶が残る。中心は所属のバイエルン・ミュンヘンで復調気配にあるハメス・ロドリゲスだ。4年前は後半から出場したロドリゲスに日本は翻弄され、日本の反撃ムードを断ち切られた。前回はケガで大会に参加できなかったストライカーのラダメル・ファルカオ(モナコ)もいる。ケガの影響で一時は不調に陥っていたが、昨季に完全復活。今季もリーグ・アンで14得点を挙げ、得点ランキング2位につけている。さらには快足ウインガーのフアン・クアドラード(ユベントス)も警戒が必要。5日の欧州チャンピオンズリーグ、ホームのオリンピアコス戦ではゴールを挙げ、決勝トーナメント進出に貢献した。前線のこの3人には、今回も手を焼くことになるだろう。

 

 そして第3ポット、セネガルも不気味である。

 驚異的なスピードを誇る25歳のサディオ・マネ(リバプール)は強烈なシュート力を備えており、相棒となるケイタ・バルデ(モナコ)も高速ドリブラーとして名を馳せる。昨季ラツィオで16ゴールを奪い、今季、約40億円でモナコに移籍した22歳だ。2人とも今が伸び盛りと言える。

 

日本が2大会ぶりの決勝トーナメントに進むためには、まずもって世界的なアタッカー陣を封じなければならない。組織的かつ粘り強い守備が求められることになる。

 

 特にアタッカーと対峙する最終ライン、ゴールキーパーは、国内組からもうひとアピールが欲しいところだ。ハリルジャパンは東アジアE-1選手権に臨み、9日に初戦の北朝鮮戦を迎える。継続的に招集されている昌子源(鹿島アントラーズ)、車屋紳太郎(川崎フロンターレ)、東口順昭(ガンバ大阪)、中村航輔(柏レイソル)たちがここで活躍できるかどうかが1つの注目ポイントになる。

 

 そしてヴァイッド・ハリルホジッチ監督はロシアW杯23人のメンバー構成を見据え、守備のポジションを複数こなせる谷口彰悟(川崎フロンターレ)、三竿健斗(鹿島アントラーズ)、今野泰幸(ガンバ大阪)らを選んだ。ポリバレントタイプを探しているようにも感じる。

 

 決勝トーナメントに進んだ2002年の日韓大会はグループリーグ3試合で2失点、10年の南アフリカ大会も3試合で2失点だった。日本が世界相手に大量得点を挙げることはまず考えにくい。我慢強い全員守備が厳しいグループHを勝ち抜くキーワードになることは間違いない。


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