12日、東アジアE-1選手権が東京・味の素スタジアムで行われ、首位の日本は2位の中国と対戦し、2対1で勝利した。試合は後半39分にFW小林悠(川崎フロンターレ)のゴールで日本が先制。その4分後にDF昌子源(鹿島アントラーズ)が追加点を奪った。しかし試合終了間際にPKをFWユー・ダーパオに決められた。

 

 昌子、約40メートルのロングシュート決める(味の素スタジアム)

日本代表 2-1 中国代表

【得点】

[日] 小林悠(84分)、昌子源(88分)

[中] ユー・ダーパオ(90+3分)

 

 初戦の北朝鮮戦は辛勝だった日本。国内組のみで臨み、様々な選手がテストされている今大会、連携がかみ合わないのは仕方ないにせよ収穫の少ない試合だった。様々な反省点を踏まえ、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は北朝鮮戦からスタメンを7人変更して中国戦に臨んだ。センターバックが本職のDF植田直通(鹿島アントラーズ)が右サイドバックで起用された。植田はA代表初招集から約2年11カ月で初めてピッチに立った。

 

 日本は前半4分、最初のチャンスを迎える。FW伊東純也(柏レイソル)が右サイドからクロスを供給。ゴール前の小林がヘッドでそらせたが、ファーに待ち構えたFW土居聖真(鹿島アントラーズ)が反応しきれなかった。

 

22分にも右サイドからチャンスを作った。植田が右サイドからアーリークロスを中に入れる。ファーサイドの小林がタイミングよく走り込みヘディングシュートを放ったものの、ボールはわずか左に外れた。

 

 その後、日本のリズムに慣れた中国はプレスの強度を高めた。日本は単純なロングボールを蹴るしかなくなる。前線で小林が踏ん張るが、2列目以降の選手がうまくフォローしきれず単発な攻撃に終始してしまった。

 

 前半終了間際に日本は決定的なチャンスを迎えた。ペナルティーエリア左で土居がドリブルで仕掛けてボールがこぼれる。このルーズボールにMF倉田秋(ガンバ大阪)が反応し、そのまま右足を振り抜いた。しかし、シュートは惜しくも左ポストを叩き、スコアレスで試合を折り返した。

 

 後半に入り、日本に決定的なピンチが訪れる。12分、日本の左サイドの深い位置でDFフー・フアンから途中出場のMFジャン・ウェンジャオにパスが通る。ジャンがゴール前にスルーパスを供給すると、ユーにDFラインの裏に抜け出され、フリーでシュートを打たれた。これはGK東口昭順(ガンバ大阪)が右足に当てるビッグセーブで窮地をしのいだ。

 

 両者ともなかなか得点が奪えない展開だったが、39分に今季のJリーグ得点王が本領を発揮した。後半途中から出場したFW川又堅碁(ジュビロ磐田)が敵に囲まれながら強引にシュートを打ったこぼれ球に小林が反応し、右足でダイレクトシュート。これは相手GKに止められたが、再度こぼれたボールに体をひねりながら左足で蹴り込んで日本が先制した。

 

 代表初ゴールを決めた小林は「こぼれてきたので、うまく流し込めた。(ゴールが)見えていなかったので感覚でした。自分の位置とボールの位置の感覚で打ちました。なかなかゴールが奪えず、今日は自分の日じゃないのかなと思ったが、最後に決められてよかったです」と頬を緩ませた。

 

 その4分後にはセンターサークル付近でボールを持った昌子が相手のGKの位置を見て右足でロングシュートを放った。相手GKの頭上を見事に射抜きリードを2点に広げた。「1対0で勝っていたので“ゴールキックになってもいいや”と思って蹴った」。A代表9キャップ目にして決めた初ゴールは豪快な一撃だった。

 

 このまま試合を終えたかった日本だが、「最後の終わらせ方に課題がある」(昌子)と完封はできなかった。DF山本脩斗(鹿島アントラーズ)がジャンをペナルティーエリア内で倒してしまう。このPKをユーにゴール右に決められ、1点差に詰め寄られた。2-1で勝利を収めたものの、終了間際にエリア内で強引に仕掛けてくる相手への対処に課題を残した。

 

 日本は北朝鮮、中国に連勝し、首位をキープ。今日の勝利で日本は2大会ぶりの東アジアE-1選手権優勝に王手をかけた。次節は中3日で勝ち点差2の2位韓国と対戦する。引き分けでも優勝と条件的には有利だが、宿敵・韓国に勝利して、東アジアの頂に立ちたい。

 

(文/大木雄貴)