16日、東アジアE-1選手権が東京・味の素スタジアムで行われ、首位の日本は2位の韓国に1対4で敗れ、2大会ぶりの優勝とはならなかった。前半3分にPKからFW小林悠(川崎フロンターレ)が先制点を決めたが、13分にFWキム・シヌクに同点ゴールを許すと、立て続けにゴールを奪われた。大敗を喫した日本は韓国に抜かれ、2位で大会を終えた。韓国は大会2連覇を達成した。

 

 速攻を封じられ、攻め手なし(味の素スタジアム)

日本代表 1-4 韓国代表

【得点】

[日] 小林悠(3分)

[韓] キム・シヌク(13分、35分)、チョン・ウヨン(23分)、ヨム・ギフン(69分)

 

 日本は引き分けでも優勝だった。条件的には有利だったが、良いところなしで終わった。

 

 前半3分にFW伊東純也(柏レイソル)の仕掛けから得たPKを小林が決めて先制に成功した。だが、韓国の攻守の切り替えの速さに手を焼いた。13分、ついに同点ゴールを決められる。DFキム・ジンスに左サイドからクロスを上げられ、身長がメートル近いキム・シヌクにヘディング弾で試合を振り出しに戻される。

 

 ホームでの優勝を目標に掲げていた日本だが、なかなかギアが上がらない。前からプレスを積極的にかけるわけでもなく、ラインを低く設定してブロックを敷くわけでもなく中途半端になり、韓国を流れにのせてしまう。

 

 23分、FKを与える。これをMFチョン・ウヨンが右足のインステップでボールを押し出すようにキック。無回転に近いボールは壁を越え、右斜めに落ちながらゴールネットを揺らした。その12分後にも日本守備陣が崩された。MFイ・ジェソンに右サイドからカットインでゴール前に侵入される。日本のDF陣がボールウオッチャーになり、ファーサイドに流れたキム・シヌクを完全にフリーにしてしまう。パスを受けたキム・シヌクに左足インサイドでゴール右に流し込まれてしまった。

 

 2点のリードを許し、試合を折り返した日本は、戦況を立て直すことができなかった。小林と2列目の選手たちの距離が遠く、単独でボールを運ぶだけになり、連動した攻撃を仕掛けられない。

 

 すると後半24分、再びFKから直接ゴールを決められる。ペナルティーエリア付近右サイドでFKのピンチ。途中からピッチに立ったレフティーのMFヨム・ギフンに低く速いボールを入れられる。クリアしようと懸命に伸ばした小林の足にボールが当たった。角度が変わったボールに対しGK中村航輔(柏レイソル)の反応が遅れ、韓国に4点目を献上した。

 

 攻め手を欠いた日本は為す術もなくタイムアップの笛を聞いた。開始早々に先制しながらリズムに乗れなかった。チームのまとめ役を担ったDF昌子源(鹿島アントラーズ)は「本当に情けない試合」と悔しさを滲ませた。

「あれだけ早く点を取ると慎重になって、(相手の攻撃を)受けてしまう。監督に“このゴールは無しと思って前から(プレスに)行くでしょう”と確認したら“もちろん”と返答された。チーム全体で前から行くぞ、としをしたんですが……」

 

 攻守の切り替えの速い韓国に手も足もでなかった。ベテランのMF今野泰幸(ガンバ大阪)はこう試合を振り返った。

「プレスがハマらなかった。相手に中盤でフリーで持たせ過ぎた。そこから自由に蹴られたし、サイドに振られた。FWの高さも使われた。前半のうちに修正できずズルズルいってしまい3点やられた。MF倉田秋(ガンバ大阪)とMF井手口陽介(ガンバ大阪)がもっと前に行って、僕も前で受けられれば良かったが、相手の守備も良かった」

 

 代表の層を厚くするための国内組の見極めに重きを置いた今大会。右サイドアタッカーの伊東は縦に速い展開を求めるヴァイッド・ハリルホジッチ監督好みの選手と言えるだろう。次の代表活動は来年3月、欧州での国際親善試合になる見通し。今回のメンバーの中で、指揮官はどのカードを手元に残すのかに注目したい。

 

(文/大木雄貴)