(写真:カリーとウォリアーズは過去4年間で3度目の優勝を果たすのか Photo By Gemini Keez)

 2017~18シーズンは群雄割拠——。NBAの今季も半ばを迎え、予想以上の混戦状態でバスケットボールファンを喜ばせている。今年も過去3年同様、ゴールデンステイト・ウォリアーズとクリーブランド・キャバリアーズがファイナルで対戦することになるのか。それとも米スポーツ界を震撼させる波乱があるのか。今回はNBAのシーズン前半を振り返りつつ、両カンファレンスの行方を展望し、後半戦の見どころを占っていきたい。

 

 王者ウォリアーズの強さは健在か

 

 過去3年連続ファイナル出場、そのうち2度も優勝を果たした現代の最強軍団ウォリアーズは、今季もリーグ最高勝率をキープしている。ただ、これまでほどの支配的な強さは感じられないという声も聞こえて来る。

 

(写真:後半戦はデュラント大爆発の予感が漂ってくる Photo By Gemini Keez)

 主力選手は故障がちで、ステフィン・カリーは最初の37戦中13戦、ケビン・デュラントは同5戦、ドレイモンド・グリーンは同6戦を欠場。この3人にクレイ・トンプソン、アンドレ・イグダーラを加えたいわゆる“デス(死の)・ラインアップ”の効果が、昨季より大きく落ちているというデータもある。ここ3年はウェスタンの誰よりも多くのミニッツをプレイしてきた選手たちが、そろそろ疲れをみせても不思議はない。

 

 もっとも、そんな状態でそれでも優れた成績を残してきたことがチーム力の証明でもあるのだろう。シーズン最高勝率を狙ったがゆえにプレイオフでガス欠を起こした一昨年の轍は踏まず、昨季、今季のウォリアーズはペース配分を考えている印象がある。長いシーズンの戦い方を知った王者が、後半戦でペースを上げてくる可能性は高いのではないか。特にウォリアーズで2年目を迎え、新天地の水にも慣れたデュラントが満を持して大爆発しても驚くべきではない。

 

 レブロン、5度目のMVPなるか

 

(写真:レブロンの“リーグNo.1プレイヤー”としての評価は依然として揺るぎない Photo By Gemini Keez)

 昨年12月30日に33歳の誕生日を迎えたにも関わらず、帝王レブロン・ジェームズの動きには衰えは見られない。1月3日のゲーム終了時点で平均27.5得点、8.1リバウンドを残し、9.1アシストは自己最高の数字。何より、リーグ4位の平均37.2分をプレイしてきたことは驚嘆に値する。

 

 持ち前の身体能力、パワーに加え、加齢とともに円熟味を増している印象もある。開幕前にカイリー・アービングが移籍し、代役として獲得されたアイザイア・トーマスが2017年中は出場できなかったにも関わらず、クリーブランド・キャバリアーズ(以下、キャブズ)が好位置につけているのはやはりレブロンの支配力がゆえに違いない。

 

 ヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデンが故障離脱した現状で、MVP争いでも今やレブロンがトップだろう。NBAの歴史上で、33歳以上でリーグMVPを獲得したのはカール・マローンとマイケル・ジョーダンだけ。今季終了後、現代の最強プレイヤーが3人目となる可能性は高そうだ。

 

 イースタンの覇権の行方

 

(写真:アービングとレブロンは短期間でイースタン内でも最高級のライバル関係を構築するに至った Photo By Gemini Keez)

 イースタン・カンファレンスの優勝争いは近年になく興味深いものになるかもしれない。アービングを加えたボストン・セルティックスがトップを走り、その後をトロント・ラプターズ、キャブズが追いかける展開。4位のワシントン・ウィザーズ、5位のミルウォーキー・バックスも優れたコアを擁している。イーストのプレイオフは無風に終わることが多いが、今年は早いラウンドからファンを喜ばせるバトルが展開されても不思議はない。

 

 そんな中でも、本命が依然としてキャブズであることに変わりはない。前述通り、レブロンが元気な限りはキャブズの大崩れはない。1月2日にトーマスがついに復帰を果たしたことで、新たなプレイメーカーが誕生したことも大きい。ウォリアーズ同様、シーズンを通じての勝ち方を知ったチームは、プレイオフが開催される4~6月に向けて徐々にペースを上げてくるに違いない。

 

 ただ、例えイースタン内と限定しても、今季のキャブズは昨季までほど鉄板ではないという意見も根強い。ディフェンシブ・レイティングでリーグ27位という数字はやはり懸念材料である。

 

 気の早い話だが、イースタン・カンファレンス・ファイナルでセルティックスとの対戦が実現すれば、過去3年連続でファイナルに進んだ東の王者にとっても容易な戦いにはなるまい。レブロン対アービングの元同僚対決、トーマスと古巣ボストンの激突といったストーリーラインも豊富だけに、全米を釘付けにするシリーズになるはずである。

 

 サンダーの今後

 

(写真:ウェストブルック<中央>とジョージ、カーメロが完全に噛み合う時が来るのか Photo By Gemini Keez)

 ラッセル・ウェストブルック、ポール・ジョージ、カーメロ・アンソニーという“ビッグ3”を中心としたスター軍団に生まれ変わったオクラホマシティ・サンダーは、今季最大級の注目チームとなった。

 

 最初の20戦で12敗を喫しながら、昨年12月27日まで6連勝。これで波に乗るかと思えば、その後に地元で連敗を喫してしまった。新たなパワーハウスは依然として摑みどころがなく、今後の方向性も実に読みづらい。

 

 好材料はディフェンシブ・エフィシエンシーでリーグ9位、平均失点で3位と守備面で優れた数字を残していること。一見すると派手な陣容だが、どちらかと言えば守備のチームで、オフェンス面ではウェストブルックの個人技から活路を見出す勝ちパターンを確立しつつある。今後のポイントは、この無骨なスタイルをどこまで研ぎ澄ませられるか。

 

 総合的に見て、ウォリアーズの覇権を脅かすようなチームには見えず、少なくとも現時点ではロケッツ、サンアントニオ・スパーズより下にランクせざるをえない。ただ、タレントは確実に備えているだけに、後半戦のどこかで一気に噛み合い始める可能性は否定できない。ウェストブルックの切り開いたスペースをジョージ、カーメロが活かせるようになれば、サンダーは依然としてどのチームにとっても厄介な相手になるポテンシャルを秘めている。

 

 トレード期限の波乱

 

 ウォリアーズ、キャブズと後続チームとの差が詰まっていると目されていることもあり、2月8日のトレード期限前には一部のコンテンダーが積極的に動きそうだ。“Buyer(売り手)”の候補として挙がっているのは、セルティックス、ミルウォーキー・バックス、サンダー、デンバー・ナゲッツ、ミネソタ・ティンバーウルブズなど。また、キャブズもシーズン中にテコ入れを行うのが恒例になっており、今年のトレード期限前にも目は離せない。特にキャブズはアービングとトーマスのトレードの際にブルックリン・ネッツの来年度ドラフト1巡指名権を手に入れているだけに、その指名権を使って大型トレードをまとめることも可能だ。

 

 移籍候補としては、マルク・ガソル(メンフィス・グリズリーズ)、デアンドレ・ジョーダン(ロサンジェルス・クリッパーズ)、エバン・フォーニエ、ニコラ・ブーセビッチ(オーランド・マジック)、ロビン・ロペス(シカゴ・ブルズ)、デニス・シュルーダー(アトランタ・ホークス)、ジョージ・ヒル、ザック・ランドルフ(サクラメント・キングス)といった著名選手たちが注目されている。この中から、強豪チームにトレードされるプレイヤーは出てくるのか。

 

 サンダーが今後に現体制での限界を感じさせた場合、今季で契約切れを迎えるジョージを早めに放出する可能性もある。様々な思惑が入り乱れ、今年のトレード期限前は緊張感に満ちた時間になりそうだ。

 

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール
東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、NFL、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボールマガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞』など多数の媒体に記事、コラムを寄稿している。著書に『MLBに挑んだ7人のサムライ』(サンクチュアリ出版)『日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価』(KKベストセラーズ)。最新刊に『イチローがいた幸せ』(悟空出版)。
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