昨秋、「えひめ国体」を無事に終えた愛媛県のスポーツ界は2018年、新たな一歩を踏み出すことになる。"えひめ国体後"のシーズンを迎えて、どう強化に取り組んでいくのか。ダイキボート部、弓道部を中心に2018年の取り組みを聞いた。


「大目標だった国体が終わりホッとしているのか、例年よりもオフが長い気がしています」

 

 こう語るのは愛媛県ボート代表選手であり、ボート協会の強化委員も務める武田大作だ。武田はえひめ国体・成年男子ダブルスカルに出場した。足の負傷の影響で本調子ではなく敗者復活から準決勝に進んだもののそこで敗退となった。

 

「国体のときの左足の負傷は、傷から雑菌が入り炎症を起こしたものです。もともとヒザの古傷もあって右足よりも細かった左足は、その影響でさらに細くなった。国体には出られたことに感謝という状態でしたので、とにかく冷静に少しでも上の順位をと思って戦っていました」

 

 これまでオリンピックや世界選手権の出場経験を持つ武田にとっても地元での国体は、経験したことのないプレッシャーを感じたという。

 

「今まで出たどの大会と比べても雰囲気が全然、違っていました。応援もすごいし、それに伴うプレッシャーも大きかったけど気持ちいいくらいでした。選手としては満足な結果が残せませんでしたが、チームとしては2位に入り愛媛県の天皇杯2位に貢献できた。これまでの強化が実ったんだな、と充実した気持ちです」

 

 18年シーズン、福井国体に向けた愛媛県ボート代表の強化策について聞いた。
「成年男子は地元国体を区切りにして引退する選手がいます。代表の9人中、半分近い選手が引退を表明しました。これまで平均年齢30歳前半だった代表ですが、今後は顔ぶれががらりと変わることでしょう。今の成年男子は少年のときから強化を続けてきた選手たちが県内に残っているので、チームワークという点でも心強い。成年女子はメンバーがほぼ変わらず、強さを維持しているので今年も楽しみです。福井県はボートに関しては王国と呼んでいいほどの強豪です。地元国体ということでさらに福井勢は手強くなりますが、愛媛県も一矢報いるつもりで強化を続けていきますので応援よろしくお願いします」

 

 ダイキ弓道部の主将・佐々木磨理はえひめ国体をこう振り返った。
「自分自身は調子を落として代表に選ばれずに悔しい思いをしていました。ダイキ弓道部から2人が代表に選ばれたものの結果を残せず、それも非常に悔しかった。地元国体は初めての経験でしたが、周囲の期待も大きく、そして応援もすごかった。怖いくらいの雰囲気でした」

 

 大きなプレッシャーのかかる地元国体を経験したことで得たものは?
「代表として戦った2人はもちろんのこと、我々も国体に向けて昨季、遠征などを数多くこなしてきて地力をつけたと思っています。今年は遠的の練習を多くこなし、自分自身は調子を取り戻して代表に復活するのが目標です。それで国体での優勝を目指したい」

 

 ボート部、弓道部ともに地元国体での経験を糧にして、さらなる飛躍を目指す18年シーズンとなりそうだ。

 

 なお2月に行われる平昌オリンピックには愛媛県を拠点に活動する郷亜里砂がスピードスケート女子500m、1000mの代表として出場する。郷は1月に愛媛県庁や愛媛県体育協会を訪れて「愛媛県の皆さんの応援で代表に選ばれることができました。スケートに集中できる環境をつくっていただいたことに感謝して、メダルを愛媛に持って帰りたい」と抱負を述べた。平昌から朗報が届くことを期待したい。


◎バックナンバーはこちらから