2年の任期満了に伴う日本相撲協会の理事候補選挙(理事選)が2日に実施された。午後2時から全親方101人による投票で行われ、即日開票。5期連続当選を目指した注目の貴乃花親方(元横綱・貴乃花)は2票にとどまり、最少得票者となり落選した。

 

 高砂一門は現職の八角理事長(元横綱・北勝海)、最大派閥の出羽海一門からは春日野親方(元関脇・栃乃和歌)ら4人、二所ノ関一門は尾車事業部長(元大関・琴風)と初出馬の芝田山親方(元横綱・大乃国)、時津風一門は鏡山危機管理部長(元関脇・多賀竜)、伊勢ケ浜一門は高島親方(元関脇・高望山)が当選となった。貴乃花一門からは阿武松親方(元関脇・益荒雄)が初当選を果たした。
 当選した理事候補は、3月場所後の3月26日に開かれる評議員会での選任決議を経て就任する。新たな理事メンバーによる理事会が同日に開かれ、理事長を互選する。

 

 今回の理事候補選は、定数10の理事枠に対し11人が立候補し、5期連続の投票に持ち込まれた。貴乃花親方は先月、昨秋の元横綱日馬富士の傷害事件において協会への報告義務を怠ったとされ、理事を解任されていた。持ち票は自身の1票だけとなったことで苦戦が予想され、一門からは出馬辞退要請も受けた。一門の思いを汲み、阿武松親方を出馬させることに同意したが、「理事選に出ることに意義がある」との信念を貫き自らも出馬。投票に持ち込み信を問うたが、無念の落選となった。

 

 定数3の副理事候補も、初出馬の錣山親方(元関脇・寺尾)、その兄である井筒親方(元関脇・逆鉾)、藤島親方(元大関・武双山)、花籠親方(元関脇・太寿山)ら4人が立候補したため、投票となった。錣山親方は時津風一門を離脱して無所属となり、貴乃花一門の推薦を受けるかたちで立候補していたが、投票総数101に対し14票にとどまり落選した。

 

 今回の理事候補選挙に貴乃花親方は、落選覚悟で臨んでいたと思われる。1日に開かれた投票前最後の貴乃花一門の会合で、自身は落選を受け入れながら、思いを託した同門の阿武松親方にエールを送ったという報道もあった。自らが捨て身で出馬することで、無投票で理事が決まるという事態を避け、「選挙という公平なやり方で理事を選びたい」という強い意志が感じられる。結果にこそ結びつかなかったが、この度貴乃花親方が投じた一石に込めた思いは、当選した新理事候補にも伝わっているに違いない。