10日、富士ゼロックススーパーカップが埼玉スタジアムで行われた。2017年度天皇杯覇者のセレッソ大阪が昨季Jリーグ王者の川崎フロンターレに3-2で勝利した。試合は前半26分にMF山口蛍のゴールでC大阪が先制。後半3分にMF清武弘嗣が追加点を決めるが、3分後に川崎フロンターレのFW小林悠にPKからゴールを許した。1点差に詰め寄られたC大阪は33分にMF高木俊幸がゴール左に流しこんだ。C大阪はアディショナルタイムにFW大久保嘉人にゴールネットを揺らされたものの逃げ切った。

 

杉本、2アシストの活躍(埼玉スタジアム)

セレッソ大阪 3-2 川崎フロンターレ

【得点】

[セ] 山口蛍(6分)、清武弘嗣(48分)、高木俊幸(78分)

[川] 小林悠(51分)、大久保嘉人(90分+2)

 

 Jリーグの前哨戦と位置づけられているゼロックススーパーカップ。両チームとも今オフ、積極的に補強を行ったが新戦力はベンチからのスタートだった。

 

 立ち上がりからC大阪のペースだった。前半2分、右サイドからMF水沼宏太がクロスを入れる。このボールにFW柿谷曜一朗が左足で合わせるがジャストミートできなかった。7分には左サイドからDF丸橋祐介がゴール前にクロスを供給。FW杉本健勇と柿谷が飛び込むが惜しくも相手GKチョン・ソンリョンにクリアーされた。ゴールを奪うには至らなかったが、C大阪はシンプルながら効率よくボールを前に運んだ。

 

 リズム良く攻めていたセレッソ大阪が26分に均衡を破った。右サイドからペナルティーエリア内でボールを受けた杉本は後方の山口にボールを落とした。これを山口は右足インサイドでトラップせずにシュートを放ち、見事右隅下に決まった。山口に狙いすましたコントロールショットでC大阪が幸先よく先制した

 

 後半はシーソーゲームとなった。3分、GKキム・ジンヒョンが前線にロングボールを送る。後半からピッチに入った186センチの長身FWヤン・ドンヒョンが競り合う。ヤン・ドンヒョンの裏に位置取りこぼれ球を「狙っていた」と杉本がヘディングで左サイドを走る清武にパスを送る。ボールを受けた清武は頭でトラップし、ペナルティーエリアに侵入。清武はGKの位置を冷静に見て、右足でニアサイドを射抜いた。高さをいかしたお手本のようなゴールだった。

 

 3分後にPKから小林に得点を許すが、ペースを握っていたのは依然としてC大阪だった。33分にも綺麗な形からゴールを奪う。ペナルティーエリア手前でボールを受けたヤン・ドンヒョンが素早く前を向く。途中からピッチに送り出された高木が相手DFラインの裏に走るとピタリとパスが出た。このボールを受けた高木は右足インサイドで難なくゴール左に流し込んだ。浦和レッズから移籍してきた高木とKリーグから加入したヤン・ドンヒョンの好連携から奪った得点だった。

 

 アディショナルタイムに大久保にゴールを許すものの、美しい形で得点を重ねたC大阪が3対2でJリーグ王者を降した。

 

 2アシストを決めた杉本は「ゲーム運び的には立ち上がりから良かった」と語り、こう続けた。

「2点目は本当に狙っていた形なんです。ドンヒョンは競り合いが強い。彼が競った、後ろを狙おうと思っていた瞬間にあの場面が訪れた。キヨ君(清武)も冷静に決めてくれましたし、良かったです」。今季から10番を背負う清武は自身のゴールを「理想的な形だった。あの形が増えていけば」と口にした。

 

 昨年、初めてタイトルを手にした両チーム。ゼロックススーパーカップも初参戦同士だったが、C大阪が一足早く桜を咲かせた。元々テクニックに定評のある選手の多いC大阪は2週間後に開幕するJリーグでもビューティフルゴールを連発できるか。このチームの得点の形にも注目したい。

 

(文/大木雄貴)