10日、平昌五輪の女子アイスホッケー予選ラウンドが行われ、グループBの世界ランキング9位の日本代表(スマイルジャパン)が同5位のスウェーデン代表と対戦した。第1ピリオドに先制されたスマイルジャパンは第2ピリオドにFW浮田留衣(Daishin)が決めて、追いつく。しかし第3ピリオドに勝ち越しを許すと、そのまま1ー2で逃げ切られた。

 

 メダル獲得を目標に置くスマイルジャパン。しかし、大事な初戦を落としてしまった。4年前のソチ五輪、0-1で敗れたスウェーデンにリベンジは果たせなかった。

 

 オリンピック2大会連続4位のスウェーデンはグループBで世界ランキング最上位国。ソチ五輪以降も対戦しており、15年世界選手権で4-3と勝利している。今大会直前のフィンランド遠征では延長戦で1-2の敗戦。実力は拮抗してきているとみていい。

 

 開始早々に試合は動いた。2分を過ぎたところで、スウェーデンの強烈なシュートが日本のゴールを襲う。ここはGK藤本那菜(ボルテックス札幌)が弾いたものの、こぼれたパックを拾ったスウェーデンが二次攻撃。左サイド角度のないところから、FWファニー・ラスクがニアサイドを打ち抜いてきた。絶妙なコースに飛んだシュートは藤本の肩口を通過し、ゴールネット揺らされた。スマイルジャパンはいきなり先制を許す苦しい展開となった。

 

 追いつきたいスマイルジャパンは、徐々にペースを掴み始めた。FW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)、FW床秦留可(SEIBUプリンセスラビッツ)、浮田の攻撃的なラインを中心に反撃する。10分が経過したところで、左サイドから床秦留可がシュートを放った。GKに阻まれるものの、床秦留可が再び拾って、パックをキープ。ゴール裏を回ってから、中に絶妙なパスを久保へ送る。久保がダイレクトで合わせたが、こちらもGKにセーブされた。

 

 このピリオド最大のチャンスを生かせずにいると、終了間際にはカウンターを食らう大ピンチ。DF床亜矢可(SEIBUプリンセスラビッツ)のミドルシュートのこぼれ球をスウェーデンに拾われ、そのままGKと1対1の危機的状況をつくられた。だが、ここは守護神の藤本那菜が身を挺して防ぐ。第1ピリオドは0-1で終えた。

 

 第2ピリオドに入ると、床秦留可のチャンスメイクからFW大澤ちほ(道路建設ペリグリン)と久保が惜しいシュートを放つ。山中武史監督が「僕の想像を超えたプレーをする。驚かされることが多いです」と称える床秦留可が攻撃を牽引する。攻撃の柱が活躍すれば、守護神も負けじと存在感を発揮した。たびたび決定機をつくられるも、藤本が好セーブを連発。追加点を許さなかった。

 

 スマイルジャパンに笑顔の花が咲いたのは16分52秒だ。床秦留可がゴール裏から回り込んでバックハンドで意表を突くシュート。こぼれ球を床秦留可が拾い、久保が繋ごうとゴール前でパックに絡む。DFに跳ね返り、GKが弾いたところに最後は浮田が押し込んだ。恒例のお辞儀パフォーマンスも披露。攻撃力の高い選手を揃えるラインで同点に追いついてみせた。

 

 勝負の第3ピリオド。またもや早々に失点を喫してしまう。自陣でパックを繋ごうとして、奪われる。そのまますぐにゴール前にパスを送られ、FWサラ・イヤルマルションに決められた。不用意なパスによる痛い1点だった。その後、スウェーデンのマイナーペナルティー(2分間の一時退場)によるパワープレー(数的優位の状況)の時間帯を3度迎えたが、ゴールはできなかった。

 

 内容では互角の戦いを見せたものの、結果としては、またしても1点届かなかった。遠い初勝利。だが悲観している時間はない。中1日で世界ランキング6位のスイス代表と対戦する。鉄壁の守護神を擁するソチ五輪銅メダルの強豪国だ。この壁を打破しない限り、初勝利と決勝トーナメント進出は見えてこない。

 

(文/杉浦泰介)