平昌五輪のノルディックスキー・女子ジャンプノーマルヒル決勝が12日、行われた。ソチ五輪4位の髙梨沙羅(クラレ)は243.8点で3位に入り、銅メダルを獲得した。金メダルは264.6点でマーレン・ルンビ(ノルウェー)、銀メダルは252.6点でカタリナ・アルトハウス(ドイツ)が手にした。その他の日本勢は伊藤有希(土屋ホーム)が9位、岩渕香里(北野建設)が12位、勢藤優花(北海道ハイテクAC)が17位だった。

 

「目標にしていた金メダル届かなかったんですが、最後の最後にここ一番のジャンプができました」と髙梨。ライバルたちには敵わなかったが、4年前の借りは返せたのではないだろうか。

 

 2014年のソチ五輪では金メダルの大本命として臨み、4位に終わった。「会場の雰囲気に合わせられず、自分のモノにできなかった」。風も味方はしてくれず、2本とも「納得のできるジャンプができなかった」という。

 

 髙梨は今シーズンW杯で10戦未勝利と、今までなく勝てない中で迎えていた。ルンビ、アルトハウスらの成長に押され、表彰台から外れることもあった。

 

 現地入りしてから100m超えのジャンプを連発しており、好調を窺わせた。1本目のジャンプから103.5mと好記録を出した。120.3点で暫定トップに立った。しかし、後続のアルトハウスが123.3点、ルンビが125.4点をマークし、3位となった。

 

 トップのルンビと5.1点差、2位アルトハウスとは2.9点差がついた。飛距離に換算すれば1位と2.55m差、2位とは1.45m差。逆転も十分に可能な位置に付けた。

 

 迎えた2本目。泣いても笑っても最後のジャンプだ。ここでも髙梨は103.5mの好記録をマークした。123.5点を加算し、243.8点で再び暫定トップ。この時点で残すのはアルトハウスとルンビのため、日本人初の表彰台が確定した。

 

 だがアルトハウスとルンビは髙梨を上回るジャンプを見せ、3位まで陥落。終わってみれば今シーズンのW杯ランキング通り、ルンビ、アルトマン、髙梨の順で落ち着いた。

 

「金メダルを獲ることはできなかったけど、すごく自分の中でも記憶に残る。競技人生に繋がる、糧になる貴重な経験をさせていただいた」と髙梨。2本目のジャンプ後にはガッツポーズを見せ、彼女にとっても会心の出来だと感じさせた。チームメイトたちに抱き締められると涙を我慢することはできなかった。悔し涙の4年前とは違う種類の涙だった。

 

 成長を窺わせた。4年前は平均17点前後だったテレマークもジャッジ全員が18点以上をつけた。

「ソチオリンピックから4年間、悔しい思いをバネにしてきました。ただ金メダルを獲る器じゃない。まだまだ競技者として勉強していかないこともたくさんある。周りの先輩たちからいろいろなことを学んで成長していきたい」

 4年前の魔物は退治した。今度はルンビ、アルトハウスといったライバルたちを超える飛行を目指す。

 

(文/杉浦泰介)