19日、平昌五輪ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル団体が行われた。ソチ五輪銅メダルの日本は6位入賞だった。金メダルは1098.5点を獲得したノルウェー。銀メダルは1075.7点でドイツ、銅メダルは1072.4点でポーランドが手にした。ソチ五輪銅メダルの日本は940.5点で6位入賞だった。

 

 2014年ソチ五輪で3大会ぶりの表彰台に上がった日の丸飛行隊。しかし、平昌五輪ではメダルが遠い。世界の壁は高く、越えることなく大会を終えた。

 

 日本は竹内拓(北野建設)、伊東大貴(雪印メグミルク)、葛西紀明(土屋ホーム)というソチ五輪メンバーに、今大会好調の小林陵侑(土屋ホーム)が加わった陣容で臨んだ。かつてのように大ジャンプで高得点を稼ぐようなホームランバッターはいない。総合力で勝負したいところだ。12チーム中8チームが2回目に進める。

 

 1回目、日本のトップバッターを任されたのは竹内。17日のラージヒルでは日本人2番手の22位だった。勢い付けるジャンプを期待したいところだったが、揚力を得られない追い風の影響もあったのか124mと記録はいまひとつで113.6点を獲得するにとどまった。1人目のジャンプを終えて、日本はノルウェー、ドイツ、オーストリア、ポーランド、スロベニアに次ぐ6位だ。表彰台圏内の3位ポーランドには早くも28.27点差をつけられた。

 

 2人目の伊東は、かつて日本のエース格だった男だ。混合を含めた団体で世界選手権4個のメダル、ソチ五輪も含めれば5個のメダルを手にするなど経験は豊富なジャンパーである。今季はケガもあって不本意なシーズンを過ごしている。32歳の意地を見せたいところだ。126mで117.6点を加算。順位は変わらず、3位ポーランドとの差は26.9点に開いた。

 

 3人目は8度目のオリンピック出場、レジェンド葛西である。ソチ五輪ラージヒル銀メダリストは、17日のラージヒルで2回目にすら進めなかった。団体戦の1回目は風にうまく乗り切れず124mだった。平昌のシャンツェで葛西に“神風”は吹かなかった。

 

 チームの“4番バッター”はノーマルヒルで7位入賞、ラージヒルでは10位に入った21歳の小林陵侑。大会前はW杯開幕戦を制した兄・潤志郎への期待が高かったが、大舞台に物怖じせず好ジャンプを連発している。1回目も132.5mと日本人でただ1人K点(125m)越えを果たし、132.1点を加えた。しかし、4番手はどの国もエース格が飛ぶ。小林陵侑を上回る飛距離を記録し、日本は上位からさらに離された。

 

 2回目のジャンプでも差をつめるどころか、むしろ広がるばかりだった。合計940.5点は3位のポーランドとは131.9点差。1人分足しても届かないほどの大差をつけられた。金メダルを獲得したノルウェーは全8本で130m以上の大ジャンプ。日本は小林陵侑の2本のみで、K点越えは葛西の2本目と合わせて3本だけだ。

 

 今大会ジャンパーたちを悩ませていた風は比較的落ち着いていた。伊東も「一番安定している。技術勝負」と話していたが、完敗だった。飛型点でも19点台をマークするジャッジは1人もいなかった。低空飛行に終わった日本。4年後の北京五輪で再浮上するためには個の成長が絶対不可欠である。

 

<総合成績>
1位 ノルウェー 1098.5点
2位 ドイツ 1075.7点
3位 ポーランド 1072.4点
6位 日本(竹内、伊東、葛西、小林陵) 940.5点

 

(文/杉浦泰介)