21日、平昌五輪フィギュアスケート女子シングルショートプログラム(SP)が行われ、宮原知子(関西大学)が75.94点の4位、坂本花織(シスメックス)が73.18点の5位で好スタートを切った。両者とも大舞台で自己ベストを更新する演技を披露し、23日に行われるフリースケーティング進出を決めた。トップのアリーナ・ザギトワ(ロシアからの個人資格)は世界最高の82.92点を記録した。

 

 第4組の1番目(全体では19番滑走)で登場した坂本。「団体戦では緊張があった」と話したが、シングルのSPでは落ち着いていた。中野園子コーチにポンと背中を押されてリンクに飛び出した。

 

 ヴェートーベン「月光」が流れると艶やかに体を揺らす。加点を狙うため後半に3つのジャンプを予定していた。そのため前半はレイバックスピン、ステップシークエンスなどでつなぎ、綺麗で滑らかなエッジ使いを見せた。フライングキャメルスピンでも会場を魅了した。

 

 曲調が変わると、坂本はスピードに乗った。最初のジャンプのトリプルフリップ+トリプルトウループを見事に決めると、続く単独のトリプルループでは「ひやっとした」と語ったが、無事に回り切った。ダブルアクセルも美しく着氷し、演技が終わるとガッツポーズを見せた。

 

 前半のスピン、ステップでも取りこぼしはなく後半の3つのジャンプも見事に決めた。坂本のこれまでのSP自己最高は今年1月の四大陸選手権での71.34点。今回の演技はそれを上回る技術点40.36、演技構成点32.82の合計73.18点を記録した。

 

 坂本は自身のSPをこう振り返った。

「最後まで集中してできました。今までで一番良い演技でした。勢いでここまでこられたので、(フリーも)このまま突っ走りたいです」

 

 26番滑走の宮原は団体戦で冒頭のジャンプを回転不足と判定された。本番前の6分間練習ではルッツの確認をしている姿が見られた。

 

 宮原は桜色の衣装に身を包み、映画「SAYURI」の曲で演技スタート。最初に予定していたトリプルルッツ+トリプルトウループの連続ジャンプを見事に決めて波に乗った。フライングキャメルスピンでも変化をつけ、足替えのシットスピンでつなぐ。単独のトリプルループは余裕さえ感じさせる出来だった。

 

 リンクを広く使った情熱的なステップシークエンスはスピードを落とすことなく滑らかだった。最後のジャンプのダブルアクセルも華麗に着氷し、レイバックスピンからビールマンスピンで演技を締めて、大歓声を浴びた。宮原の得点は技術点40.25、演技構成点35.69の合計75.94点。自己ベスト(74.64点)を更新した。

 

 宮原はジャンプについて「団体戦で回転不足をとられていたので次こそは、と練習してきた」と語った。スピンもステップも全てレベル4と評価された。「無駄なところで取りこぼしはしたくないと思いながら滑りました」

 

 中1日をおいて、フリーを迎える女子フィギュアスケート。4位の宮原と3位のケイトリン・オズモンド(カナダ)の差は2.93点、5位の坂本とオズモンドとの差は5.69点だ。日本勢がメダルに手が届くかどうかに注目だ。

 

(文/大木雄貴)