23日、平昌五輪フィギュアスケート女子シングルフリースケーティングが行われ、宮原知子(関西大学)が合計222.38点(ショート75.94点、フリー146.44点)の4位、坂本花織(シスメックス)が209.71点(73.18点、136.53点)の6位でそろって入賞を果たした。宮原はフリーでも自己ベストを更新した。金メダルは239.57点(82.92点、156.65点)のアリーナ・ザギトワ(ロシアからの個人資格=OAR)、銀メダルは238.26点(81.61点、156.65点)のエフゲーニャ・メドベージェワ(OAR)、銅メダルは231.02点(78.87点、152.15点)のケイトリン・オズモンド(カナダ)が手にした。

 

 ショートプログラム(SP)4位の宮原は最終組の1番目(全体の19番滑走)だった。直前の6分間練習では仕切りにジャンプの確認をして本番の演技に臨んだ。

 

 曲はオペラ『蝶々夫人』。最初のジャンプであるトリプルループをきれいに決めると、トリプルルッツ+トリプルトウループの連続ジャンプ、単独のトリプルフリップもノーミスで着氷した。

 

 フライングキャメルスピンからのポジションチェンジも見事だった。そして回転の方向を変えるチェンジフットコンビネーションスピンもジャッジからレベル4の評価を得た。続くステップシークエンスも伸びがあり、宮原は笑顔を見せた。

 

 演技の後半に入ると、曲調に合わせて、優雅に舞った。トリプルルッツ+ダブルトウループ+ダブルループの3連続ジャンプ、ダブルアクセル+トリプルトウループの連続ジャンプも難なくリンクに降りた。

 

 トリプルサルコウからコレオシークエンスを挟んでのダブルアクセルも成功し、最後はレイバックスピン。宮原は演技が終わった瞬間、大きくガッツポーズを見せた。本人も納得の出来だった。自己ベストを更新したSPに続き、今日のフリーでも自己ベストを塗り替えた。大舞台での自己最高記録を叩き出した宮原はすがすがしい表情でこう、語った。

 

「やることは全てやりましたが、まだまだ課題がある。(五輪の舞台は)想像以上の夢の世界でした。また自分のスケートを見直して次につなげたいです。上を目指して、海外の選手に食い込めるように頑張りたい」

 

 21番目には17歳の坂本が登場した。中野園子コーチにポンポンと背中を叩かれてリンクに飛び出した。映画『アメリ』の曲が流れると遊び心ある振り付けを大観衆に見せつける。最初の連続ジャンプ、トリプルフリップ+トリプルトウループ、そして単独のトリプルサルコウを流れるように決めた。

 

 ステップシークエンスで細かいエッジ使いを見せて、フライングシットスピンもなめらかに決めた。トリプルルッツでは踏み切りの際、エッジの使い方に細かいミスが出たが、続くトリプルフリップ+ダブルトウループは綺麗に着氷した。チェンジフットコンビネーションスピンもスピードがあった。

 

 ダブルアクセル+トリプルトウループ+ダブルトウループの3連続ジャンプは高さがありしっかり回り切った。コレオシークエンスはリンクを広く使い伸びのある演技を披露。単独のトリプルループでは着氷時にステップアウトしてしまったが大きな減点は防いだ。最後のジャンプのダブルアクセルはきっちりと着氷し、レベル4を記録したフライングチェンジフットコンビネーションスピンで演技を締めた。終わった瞬間、坂本は笑顔を見せた。

 

 リンクを後にして、笑顔の理由を明かした。

「ノーミスで終われなくて悔しいですけど、やり切ったので笑顔で終わろうと思いました。いつも以上に緊張しましたが、悪影響が出るほどではなかったです。10代で経験したら、次につなげられるので、この年で経験できてよかったです」

 

 宮原、坂本はともに五輪初挑戦で見事、ダブル入賞を果たした。演技後のコメントからも「次」に目標を定めているあたりに頼もしさを感じる。平昌五輪での経験を糧に、彼女たちはさらに大きく羽ばたくだろう。

 

(文/大木雄貴)