平昌パラリンピックが開幕。10日に競技がスタートした。アルペンスキーの女子滑降座位カテゴリーで村岡桃佳(早稲田大学)が銀メダルを獲得。金メダルはアンナ・シャッフェルフーバー(ドイツ)、銅メダルはローリー・スティーブンス(アメリカ)が手にした。男子滑降座位は森井大輝(トヨタ自動車)が銀メダル。同種目では2大会ぶり、自身としては4大会連続の銀メダル獲得となった。金メダルはアンドリュー・クルカ(アメリカ)、銅メダルはコーリー・ピーターズ(ニュージーランド)。前回のソチパラリンピック同種目金の狩野亮(マルハン)は途中棄権となった。

 

 開会式を旗手として日本選手団の先頭を行進した村岡が、今大会日本人最初のメダリストとなった。

 

「滑って怖くて、ゴールができるか不安だった」というようにスピードの出やすいコースだった。村岡の滑走順が回ってくるまでに2人が転倒して途中棄権を余儀なくされた。

 

 序盤は慎重な滑りを見せる。村岡は第1チェックポイントを通過時点で暫定1位のシャッフェルフーバーより0秒48遅れた。徐々にスピードアップしていくものの、その差は詰められない。

 

 村岡は暫定2位の1分34秒75でフィニッシュ。1分33秒26のシャッフェルフーバーに1秒49の差をつけられた。その後、滑走した選手たちは2人のタイムを上回ることができない。村岡の銀メダル、今大会表彰台一番乗りが決まった。

 

「今大会予定通り進めば、私に始まり、私に終わる。最初に滑ってメダルを獲れて、勢いをつけたかった。それが実現できて本当に良かった」と村岡。2大会目のパラリンピックで初のメダルを胸に飾った。

 

「私にとっては通過点。上を見据えて頑張りたいと思います」

 21歳の村岡は更なる高みを目指す。

 

 ソルトレークシティパラリンピックから5大会連続出場のベテランが銀メダルで続いた。37歳の森井はこれで4大会連続の表彰台だ。

 

「前半で大きなミスをしてしまった」と、森井が振り返るように序盤は出遅れた。第1チェックポイントの通過タイムは26人中15位。だがベテランは慌てずに盛り返す。

 

 得意のターンで滑り降りる。安定感のある滑りで、旗門をクリアしていった。前回大会を制した狩野を含む6人が途中棄権となったが、最後まで滑り切り1分25秒75でゴールした。優勝したクルカには1秒64及ばなかったものの、滑降では2大会ぶりのメダルだ。

 

 レース後のインタビューで森井は少し複雑な表情を浮かべていた。4大会連続のメダルだが、いずれも銀メダル(バンクーバーパラリンピックは銀1、銅1)。表彰台の頂点にまたしても届かなかったからだ。

「4大会連続シルバーメダル。残り4レースあるので、ゴールドを獲れるように頑張りたい」

 

 当然、狙うはシルバーコレクターの返上である。「まだ上がある。もっともっと頑張っていきたい」。森井はアルペン全種目にエントリー予定だ。11日のスーパー大回転はバンクーバーで銅、ソチでは銀メダル。獲得していないのは金のみである。

 

(文/杉浦泰介)