14日、平昌パラリンピックのクロスカントリースキー男子1.5キロメートル・スプリントクラシカル立位決勝が行われ、新田佳浩(日立ソリューションズ)が4分20秒5で銀メダルに輝いた。金メダルは4分19秒7のアレクサンドル・コリャージン(カザフスタン)。銅メダルはマーク・アレンツ(カナダ)とイルッカ・トゥオミスト(フィンランド)が同着の4分20秒8で手にした。

 

 パラリンピックのクロスカントリースキーは障害の重さを係数で計算し、その程度でタイム差をつけてスタートする。障害の重い順に滑り出す。そのため順位は着順で決める競技なのだ。

 

 新田は予選を2位で通過し、準決勝は第2組を1位で難なく突破。6人で争うファイナル進出を決めた。片手ストックの新田は一番手スタートのアレンツから3秒後にスタート。新田の滑り出しから12秒後に両手ストックの選手たちがスタートした。

 

 一時、新田は首位を走り、レースをリードしていた。最後の下り坂付近からトップ争いを演じていたトゥオミストに抜かれても、抜き返す白熱した展開になった。

 

 ところが、後方でレースの流れを読みつつパワーをためていた両手ストックのコリャージンが一気にスパートをかけて、トップ集団を差して1位でゴール。新田はぎりぎりの2位でフィニッシュした。

 

 新田はクロスカントリースキーで今大会日本勢初となるメダルを獲得した。6大会連続出場のレジェンドはその場に倒れこみ大きな声で叫んだ。銀メダルを手にしたものの「トップを狙っていたので悔しい」と語り、こう続けた。

 

「苦しいところで自分に負けないようにスタッフや出場できなかった選手が応援してくれたので、チームで獲ったメダルです。ミドル(10キロ)もあるので、いい流れを作れた。必ず金メダルを獲れるように準備していきたいです」

 

 新田は2010年バンクーバーパラリンピック以来、2大会ぶりとなるメダルを獲得したが、満足はしていない。17日に行われる10キロのクラシカル立位で、黄金色のメダルを胸に飾るべく、調整を続ける。

 

(文/大木雄貴)