16日、平昌パラリンピックの男子スノーボードバンクドスラローム下肢障害が行われ、成田緑夢(近畿医療専門学校)が優勝、金メダルを獲得した。これで今大会、日本勢の金メダリストはアルペン女子大回転の村岡桃佳(早大)に次いで2人目。成田はスノーボードクロスの銅に続いてのメダル獲得となった。2位はエバン・ストロング(アメリカ)、3位にはマッティ・スールハマリ(フィンランド)が入った。

 

 バンクドスラロームは平昌パラリンピックから正式競技となったスノーボードの1種目。バンクのついたコースを20人の選手が1人ずつ滑り、3本の滑走中、ベストタイムで順位が決定する。

 

 1本目、トップスタートで滑った成田は50秒17をマークして暫定1位につけると、2本目もベストタイムを更新。ただ1人50秒を切る49秒61でライバルにプレッシャーをかけた。

 

 2本目を終えて暫定1位に成田、2位には成田と同率で世界ランク1位のマイク・シェイ(アメリカ)、3位はソチパラリンピック金メダリストのエバン・ストロング(アメリカ)、4位に今大会、スノーボードクロス金メダリストのマッティ・スールハマリ(フィンランド)がつけた。

 

 3本目、トップスタートの成田はスタートから身体を上下するパンピングを積極的に使い、緩斜面の前半セクションへ加速しながら進入した。体を前に倒すフロントサイドとなる右ターンでは雪面ギリギリまで身体を近づける攻めの滑りを見せ、中間地点のタイムを0.63秒更新。急斜面の後半でもバランスを崩すことなくボードをコントロールし、フィニッシュ。ベストタイムを0.93秒、約1秒更新する48秒68で1位をキープした。

 

 3本目で2位に上がってきたのが暫定4位だったスールハマリだ。4番手スタートのスールハマリは中間点で成田から1.24秒遅れたものの、スピードに乗る後半で挽回。49秒51とタイムを更新して2位へ躍り出た。

 

 これで3位に落ちたシェイが続けて5番手でスタート。大きなパンピングで緩斜面を加速し、中間点を成田に次ぐ28秒88で通過した。だが、49秒70とスールハマリには届かず。

 

 メダルの行方は、世界上位ランカーでは最後となる8番手スタート、暫定4位のストロングの滑り次第となった。ストロングは中間地点で成田から0.7秒遅れたものの、後半で挽回。49秒20とスールハマリ、シェイを一気に上回るタイムで2位となった。以後、トップ3のタイムが更新されることはなく、成田の金メダルが確定した。

 

「ずっと目標にしていたスールハマリに勝って、そしてチャンピオンになって最高の気分です。本当に"サイコー"という言葉しか出てこない。普通は1本目のタイムが良くて、2本目、3本目と(コースが荒れるから)タイムは落ちる。それが今回は上位陣が毎回のランでベスト更新という異例の展開でした。でもそこで負けることなく、自分もベストを出せて優勝できて最高でした。平昌はいつも言っていたように常に挑戦が目標でした。どのランも同じことはやらず、挑戦できた。文句なし、最高の大会になりました!」

 

 スノーボードクロスの銅に続いて2個目、しかも金メダルを獲得した成田はレース後にこう語り、弾けんばかりの笑顔で初のパラリンピックを締めくくった。