17日、平昌パラリンピックのクロスカントリースキー男子10kmクラシカル立位が行われ、新田佳浩(日立ソリューションズ)が24分6秒8で優勝した。新田の金メダルは2010年バンクーバーパラリンピック以来、2大会ぶり。銀メダルは24分15秒5のグリゴリー・ボブチンスキー(ウクライナ)、銅メダルは24分27秒1のマーク・アレンツ(カナダ)が手にした。

 

 ゴール後、勝利を確信した新田は何度も雄叫びを上げた。8年ぶり3個目のパラリンピック金メダル。パラリンピック6大会連続出場のレジェンドが平昌で輝いた。

 

 3.3kmの周回コースを3周するタイムを競う。10kmクラシカルは新田が得意とする種目だ。8年前はこの種目で金メダルを獲っている。スタートは勢いよく飛び出した新田だったが、直後に試練が訪れる。カーブの入り口付近で足を取られ、転倒。いきなり出遅れることとなった。

 

 6.76km通過は全体3位の16分4秒4。トップのボブチンスキーとは10秒以上の差があった。それでも新田は諦めず、力を振り絞った。残り1kmを切ったところの通過タイムはボブチンスキーを逆転。ラストスパートでさらにその差を広げた。24分6秒8でフィニッシュ。2位に8秒差をつけた。

 

 これまでのパラリンピック5大会でメダルは金2個を含む3個手にしていた。しかし4年前のソチでは4種目に出場しながら、表彰台には上がれなかった。大会後、新田はブログにこう綴っていた。

<でも結果は結果。泣いても叫んでも変わることはありません。悔しかったら、ピョンチャンで晴らせば良い。喜びたいなら、ピョンチャンまで頑張れば良い>

 

 雪辱を晴らすための4年。3日前のスプリント1.5kmでは銀メダルを獲得した。それでも彼の挑戦は終わらない。「日の丸をセンターポールに上げることを考えて4年間頑張ってきた」と新田。「自分自身に負けないために、この4年間をやってきた」と振り返った。

 

 新田は「挑戦」という言葉を好む。

「クロスカントリースキーは日頃、練習してきたことが全て試合に出る。だから、自分がどこまでできるのかチャレンジしたことが、結果として出る。つまり“自分への挑戦”なんです。それがクロスカントリースキーの魅力だと思います」

「障がいを負ってはいますが、選手たちは今ある自分の能力をいかに最大限に出せるか、それに挑戦している。僕も自分の可能性を信じてスキーを続けている」

 

 最終日は混合リレーに出場する。新田の挑戦は続く。

 

(文/杉浦泰介)