いよいよ3月30日からプロ野球が開幕します。どの選手が活躍し、若手は誰が伸びてくるのか、そういうことを考えると毎年、この時期はわくわくしてきます。今回は読者の皆さんもお待ちかねのセ・パ両リーグの順位予想です。

 

【セ・リーグ】
1位 横浜DeNA
2位 阪神
3位 広島
4位 巨人
5位 東京ヤクルト
6位 中日

 

【パ・リーグ】
1位 福岡ソフトバンク
2位 埼玉西武
3位 オリックス
4位 東北楽天
5位 北海道日本ハム
6位 千葉ロッテ

 

 セ・リーグの優勝は昨季に続いて横浜DeNAと予想します。2年連続3位に入った実績と、クライマックスシリーズを勝ち抜き福岡ソフトバンクと互角に戦った自信。今季はそれらがすべて成長の糧になることでしょう。

 

 広島の課題はブルペン

 今永昇太、ジョー・ウィーランドと左右の軸が開幕前に肩の違和感やヒジ痛などで開幕ローテ入りは難しいですが、彼らが戻って先発ローテーションが整えば、最終的にはDeNAが抜け出すと見ています。

 

 DeNAの優勝よりも「なんでわしらのカープが3位なんじゃ!」という声の方が多い気もしますので(笑)、その理由を説明しましょう。

 

 広島のリーグV3の不安材料はブルペンですね。中﨑翔太、ジェイ・ジャクソン、今村猛で勝利の方程式を構築すると見られていますが、ブルペン投手の枚数が不足気味です。しかも上記3人の勤続疲労も気になります。「勤続疲労ならサファテらも一緒じゃろう?」と思われるでしょうが、守護神としての信頼感は福岡ソフトバンクのデニス・サファテがズバ抜けています。彼のような絶対的守護神がいるとブルペン陣は負担が少ないんです。広島は中﨑を守護神にする予定ですが、途中で今村を回す可能性もある。そうした流動的なブルペン陣では、他球団からのマークがキツくなるV3は難しいと見ますね。

 

 ロサリオ、藤浪が阪神浮上の鍵

 2位にあげた阪神はウィリン・ロサリオと藤浪晋太郎、野手と投手の軸となるこの2人次第で優勝の目もあります。逆に言うと2人がダメなら3位転落も……ということです。

 

 4番に座るロサリオが評判どおりに打てば、糸井嘉男や福留孝介の負担が減り、打線が機能する。オープン戦では不調でしたが、金本知憲監督と同じく私も「調子の波」だと思っています。首脳陣が4月、5月は打てなくても我慢して使いロサリオの覚醒を待てるかどうかもポイントです。

 

 藤浪はもう正念場でしょう。オープン戦の投球を見る限り、まだまだ彼本来の形になっていない。きっかけさえつかめば才能は開花すると思うんですが……。とにかく藤浪は格好にこだわるよりも、思い切って勝負することが大切です。とにかく目の前の打者を斬っていく。そういう気持ちでマウンドに上ってほしいですね。

 

 巨人は上原浩治の10年ぶりの復帰、そして4番候補のアレックス・ゲレーロ、期待の若手・岡本和真が好調と明るい話題が多い。昨季、14勝のマイルズ・マイコラスの穴を埋める先発投手が出てくればAクラス入りの可能性もあります。東京ヤクルトは青木宣親が復帰して野手陣を引っ張るリーダーとして期待されています。青木効果でチームが活性化すれば去年のようなことはないでしょう。

 

 中日は期待の若手と呼ばれていながら伸び悩む選手が多いですね。福田永将など「若手、若手」と言われならが年齢は30歳と中堅ですよ。去年の京田陽太のようにイキの良い選手が実績組を押し退ける、中日復活にはそういうカンフル剤的な存在が必要じゃないでしょうか。

 

 オリ田嶋、抑え起用も面白い

 パ・リーグはソフトバンクの優勝と予想します。対抗は埼玉西武ですね。西武の投手陣は昨季、覚醒を果たした菊池雄星が楽しみです。菊池を筆頭にして投手陣のコマが揃い、攻撃陣は昨季から顔を売った山川穂高に加えて秋山翔吾や中村剛也、エルネスト・メヒアと強力です。メヒアがクリーンアップ以外に入ることでどこからでも得点できる超攻撃型の野球ができるでしょう。

 

 3位にあげたオリックスは、実は私が今季、最も期待しているチームなんです。投手陣ではルーキーの田嶋大樹、実績のある西勇輝、金子千尋の他に2年目の山岡泰輔がすごく良い状態です。一気に優勝となると難しいですが、2位は十分にあります。個人的にはルーキー田嶋は平野佳寿の代わりに抑えで起用して面白いと思っています。まあ、これはチームの起用法なので外野が言っても仕方ないですが。

 

 昨季、開幕ダッシュに成功した東北楽天は、今年は則本昂大を中心に投手陣が計算できる。岸孝之は8勝に終わった昨季以上の成績が期待でき、そこに藤平尚真らの若手が伸びてきそうです。

 

 北海道日本ハムと千葉ロッテは今季は種まきのシーズンで、若い選手がどれだけ芽を出すかに注目します。横尾俊建(日本ハム)などグッと伸びてきそうな若手選手に期待です。

 

 

image佐野 慈紀(さの・しげき)
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商高で甲子園に出場し準優勝を果たす。卒業後に近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日、エルマイラ・パイオニアーズ(米独立)、ロサンジェルス・ドジャース、メキシコシティ(メキシカンリーグ)、エルマイラ・パイオニアーズ、オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。


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