23日、サッカー日本代表(FIFAランキング55位)はベルギーのリエージュでマリ代表(同67位)と親善試合を行い、1対1の引き分けに終わった。前半44分にFWアブドゥライ・ディアビにPKで先制ゴールを決められた。日本は後半アディショナルタイムに途中出場のFW中島翔哉(ポルティモネンセ)の代表初ゴールで同点に追いついた。

 

 中島、A代表初出場で初ゴール(リエージュ)

日本代表 1-1 マリ代表

【得点】

[マ] アブドゥライ・ディアビ(44分)

[日] 中島翔哉(90+4分)

 

「厳しい結果です……」

 

 日本代表監督のヴァイッド・ハリルホジッチは試合後に、そう呟いた。約3カ月後に迫ったロシアW杯で日本はH組でセネガル代表と同組だ。今回の対戦相手のマリ代表は“仮想セネガル”。今日の相手は本家よりも格下だが、かろうじて追いつくのが精一杯だった。

 

 前半、日本は多くのチャンスをつくった。11分、FW宇佐美貴史(デュッセルドルフ)が相手DFの裏をとったFW久保裕也(ヘント)へ見事なスルーパス。久保は右足でシュートを放つが惜しくもゴール右に外れた。12分にはFW大迫勇也(ケルン)のポストプレーから再び久保がペナルティーエリア右サイドから右足でゴールを狙うがGKにセーブされた。23分には久保からパスを受けたMF大島僚太(川崎フロンターレ)がミドルレンジから右足でゴール右隅を狙ったがGKのファインセーブに阻まれた。

 

 チャンスをモノにできなかった日本は、44分にピンチを迎える。Aマッチ初出場のDF宇賀神友弥(浦和レッズ)がペナルティーエリア内でファウルを犯してしまい、マリ代表にPKを与える。このPKをディアビにゴール右に決められ、日本代表は1点を追いかける展開となった。

 

 後半に入ると日本代表はマリ代表にペースを握られた。前線からプレスをかけても、相手のセンターバック、サイドバック、ボランチのパス回しにいなされた。個人技とワンツーを使われて狙いどころが絞り切れなくなった。

 

 ハリルホジッチは15分に2枚代えで流れを変えようとする。MF長谷部誠(フランクフルト)に代えてMF三竿健斗(鹿島アントラーズ)を、宇佐美に代えて中島を投入した。この若者2人が後に唯一、明るい材料を提供してくれる。

 

 アディショナルタイムだった。途中からピッチに入ったFW小林悠(川崎フロンターレ)が左サイドからクロスを供給。これは相手に跳ね返されるが、こぼれ球に三竿が反応。ダイレクトで中へ折り返す。このボールにフリーで反応した中島が左足でゴールに押し込み、Aマッチ初出場で初ゴールを決めた。中島の同点弾の直後に試合は終了。ポルトガルリーグで9ゴールと結果を残すドリブラーが日本を敗戦から救った。

 

 試合後、貴重な同点弾を決めた中島はこう語った。

「負けていたので、攻撃して逆転できるようにと、入った。ゴールは嬉しいが勝ちたかったので悔しい」

 

 指揮官は「いろいろな情報は得たけど、ポジティブなものは少ない。セネガルに対してまだまだ準備はできていない」と嘆いた。

 

 正直、W杯の本番に向けて不安が募る戦いぶりだった。負けているにもかかわらず、パス回しのテンポは上がらなかった。守備でも前線からのプレスはいとも簡単に外された。流れを引き寄せるミドルレンジからのシュートがもっとあってもよかったようにも思う。

 

 4日後にウクライナ代表(FIFAランキング35位)との対戦を控える。今日の戦いよりもネガティブな要素の少ない試合を期待したい。

 

(文/大木雄貴)