未来へ繋ぐ大会だ。4月7日から9日間、松山市にある愛媛県運動公園でテニスの国際大会『第1回ITFユニ・チャームトロフィー 愛媛国際オープン』が開催される。ATPツアーの下部大会(ITFフューチャーズ)にあたる愛媛国際オープンには伊予銀行からも全選手が出場予定だ。ITFフューチャーズは世界を目指す選手の登竜門である。現在、第一線を走る錦織圭らトッププロも通ってきた道なのだ。

 

 

 愛媛国際オープンの前身は2006年から14年まで9年間、松山市で開催されていた国内公認大会「JTT道後カップ愛媛オープン」(愛媛オープン)。この大会をステップに伊予銀行で活躍する片山翔、ATPワールドツアーで初優勝を成し遂げた杉田祐一などが育っていった。愛媛オープンは昨年秋に行われた「愛顔(えがお)つなぐえひめ国体」(愛媛国体)の準備のため、3年間休止していた。4年ぶりの復活を機に国際大会へとバージョンアップしたのだ。

 

 今年、国内で開催されている男子の国際大会は13ある。最上位のATPワールドツアーは「楽天ジャパンオープン」のみ。それに次ぐATPチャレンジャーは「島津全日本室内テニス選手権」「慶應チャレンジャー」「兵庫ノアチャレンジャー」3大会だ。その下のカテゴリーにあたるITFフューチャーズは9大会。愛媛国際オープンはITFフューチャーズの中で最多タイの賞金総額2万5000ドルを誇る。

 

 ITFフューチャーズとしては唯一の西日本開催だ。愛媛県での国際大会も男子では初となる。

「これから世界へ出て行こうという選手がチャレンジする場が少ないと思っています。世界ランキングをどんどん稼ぐには海を渡らなければいけない環境にあり、ITFフューチャーズやATPチャレンジャーが国内にはもっと必要だと思っています。また、この大会を開催することは愛媛県の競技力向上に大きく貢献できると思っています。さらに大袈裟に言えば日本テニスの強化のひとつになればいいと思っています。」

 そう語るのは今大会を取り仕切り、運営統括を任されている秀島達哉トーナメントディレクター(TD)だ。伊予銀行テニス部の顧問で、愛媛県テニス協会の普及・強化委員長も兼ねる秀島TDは、大会成功に向けて尽力している最中だ。

 

「これから若い選手たちが活躍する場を作っていきたいと思っています。またこの大会が地方都市である愛媛で成功すれば、他の地方都市でもやれるという機運が上がることを期待しています」

 年齢制限やカテゴリー分けはされていない。ジュニア選手がトッププロと手を合わせることができる絶好の機会である。

 

 秀島TDは若手選手のステップアップを望んでいる。

「国内のトッププロがたくさん参加してくれると思います。韓国、インド、中国をはじめ海外からもエントリーがあります。若手の選手にはここを勝って、世界へ羽ばたくきっかけを作ってもらいたいと思っているので、特に若手選手の活躍に期待しています」

 

 愛媛県内ではテレビCMも流れており、注目度も上がってきている。コートに立って世界を体感することも大事だが、生でそのプレーを観られることも貴重な経験だ。「世界を目指している選手からはすごいエネルギーがある。そういうのも感じてもらいたい」と秀島TD。入場料は無料。決勝はジュニアや高校生には間近で観られるようにコートサイドを開放する予定だという。

 

 大会期間中は8つのイベントを開催する。一般テニスクリニック、初心者テニス教室、レディースクリニック、ジュニアテニス教室、わいわいキッズテニス、車いすテニスクリニック、トッププロへのチャレンジマッチ。参加者はプロ選手や一流のコーチに指導を受けることができる。車いすテニスクリニックでは国枝慎吾を育てた丸山弘道コーチが講師を担当する。

 

 会場となる愛媛県総合運動公園のテニスコートはグランドスラムの全豪オープンと同じハードコートだ。今後のジュニア育成を見据えて世界基準のコートにこだわった。「愛媛県テニス協会としても『ハードコートを維持してほしい』と県に要望しました」(秀島TD)。県の理解も得て、守られてきた日本テニス界の貴重な“レガシー”のひとつである。

 

 愛媛県はスポーツ立県の実現を目指しており、スポーツで地域を活性化したいと考えている。「テニスを通じて地域を盛り上げたい」と願う愛媛県テニス協会と想いが同じである。

<想いを、つなぐ。地域をつなぐ。>

 その橋渡し役として、伊予銀行は今後も協力を惜しまないつもりだ。

 

 秀島TDはこう意気込む。

「1年に1回のお祭りみたいにやりたいと思っています。愛媛県テニス協会として一番の核となるイベントという位置付けにしていきたい」

 大会のプログラムには<愛媛から世界へ!>と記されている。世界へ繋がる、未来へ繋がる大会が、いよいよスタートする。

 

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