4月3日(火)
◇準決勝
 “ラッキーボーイ”黒川、3安打3打点
智弁和歌山(和歌山) 12 = 002|300|140|2
東海大相模(神奈川) 10 = 400|024|000|0 (延長10回)
本塁打 (東)渡辺2ラン

 

 2000年の選抜決勝以来となる名門校対決は、稀に見る打撃戦となった。東海大相模は初回に4点を先制。一方的な展開になるかと思いきや、智弁和歌山は3回に反撃する。2死満塁からキャプテンで4番の文元洸成がレフトに2点タイムリーを放ち、まずは2点差。さらに1点を返した4回には、2死二塁から1番・神先恵都にライト前ヒットが飛び出し、同点に追いつく。続く西川晋太郎が右中間へタイムリーツーベースを放ち、5対4と試合をひっくり返した。

 

 ここから試合は二転三転。追う立場となった東海大相模は5回、7番・渡辺健士郎のライトポール際への2ランで6対5と再逆転に成功。続く6回には智弁和歌山の3失策を突くかたちでわずか1安打で4点をあげ、10対5とリードを広げた。

 

 打撃では負けない智弁和歌山は7回に暴投で1点を返すと、続く8回には3番を打つ注目のスラッガー・林晃汰の見事なライトオーバー2点タイムリーで8対10。その後満塁となり、6番・黒川史陽のセンター前ヒットで2者が生還したことで10対10の同点となった。試合はそのまま延長戦に突入。

 

 智弁和歌山は10回、1死二、三塁で5番・富田泰生がセンターに犠牲フライを放って1点を勝ち越した。さらに当たっている黒川がレフト前にタイムリーを放ち、貴重な追加点を加えて12対10とした。その裏を無得点に抑え、智弁和歌山が18年ぶりの決勝進出を果たした。

 

 智弁和歌山は先発の池田陽佑が1死も取れずに4失点で降板。リリーフしたエースの平田龍輝が10回180球を投げ切った。中盤で失点を許したものの粘りの投球を見せ、逆転の流れを引き寄せた。一方の東海大相模は先発の野口裕斗が4点リードを守り切れずに3回途中で降板。後を継いだエース・齋藤礼二も終盤に智弁和歌山打線につかまり、7失点で力尽きた。

 

 “千両役者”藤原、延長12回裏サヨナラタイムリー
三重(三重)    2 = 002|000|000|000
大阪桐蔭(大阪) 3 = 000|001|001|001 (延長12回)
本塁打 (大)山田ソロ
 
 14年夏の決勝以来の対決。好投手を擁する両チームの対戦にふさわしく、試合はロースコアの展開となった。先手を取ったのは三重。3回に大阪桐蔭先発の柿木蓮からラストバッターの井上裕斗がヒットと盗塁で1死二塁のチャンスをつくると、1番の梶田蓮がレフトにタイムリー、続く2番の浦口輝が右中間を破るタイムリースリーベースを放ち、2点を先取した。

 

 今大会初めてリードを奪われた大阪桐蔭は4回裏に2死満塁のチャンスをつくると、エース柿木の打順で代打を起用。バッターボックスに立った青木大地はセンターフライに倒れて、結局無得点に終わってしまう。5回からはショートを守っていた根尾昂がマウンドに上がった。柿木は4回57球2失点で降板となった。

 

 根尾が2イニングをゼロで抑えて迎えた6回裏。大阪桐蔭は6番・山田健太がここまで好投の三重先発・定本拓真からレフトへソロホームラン。高めの速球を見事にとらえた当たりで、ようやく反撃の狼煙を上げた。しかし定本の力投の前に、追加点がなかなか奪えない。

 

 1点ビハインドのまま迎えた9回裏、大阪桐蔭が勝負強さを見せる。四球と安打で1死一、二塁とし、打席に立った8番・小泉航平がライト前にタイムリーを放って2対2。昨季の選抜王者が土壇場で追いついた。準決勝は2試合連続で延長戦となった。

 

 延長は定本・根尾両投手が好投。互いに得点を奪えない展開が続き、迎えた12回裏。大阪桐蔭は1死から2番・青地斗舞がショートのエラーで出塁。2死一塁となったところで、打席にはこの日4打数ノーヒットの4番・藤原恭大。初球、定本はキャッチャーのほぼ要求通りにインコース直球を投じた。藤原はそれを狙いすましたかのように振り抜くと、打球は左中間に糸を引いたように飛んでいった。センターが打球処理をする間に一塁走者が激走、劇的なサヨナラツーベースとなり、激闘に終止符が打たれた。

 

 三重の定本は1人で投げ抜き、163球7安打3失点とエースの意地を十分に見せつけた。対する大阪桐蔭の根尾は5回からマウンドに上がり、8イニングを99球無失点。粘り強い投球で、チームの逆転勝ちを呼び込んだ。

 

 勝利した大阪桐蔭は4日の決勝戦で史上3校目の春連覇を懸け、24年ぶりの選抜優勝を目指す智弁和歌山と戦う。

 

 (文/交告承已)