1勝1分け1敗、勝ち点4。
 6月に控えるロシアワールドカップでハリルジャパンがグループリーグを突破するにはここが「最低ライン」と言えるだろう。前回のブラジルワールドカップではギリシャ、ナイジェリア、アメリカ、アルジェリアがまさに「4」で決勝トーナメント進出を果たしている。これ以下であれば、基本的に先はない。

 

 3月15日発表のFIFAランキングを見てみると、日本は55位のまま。対戦国はポーランドが6位に浮上し、コロンビア13位、セネガル27位と2チームは順位を変えていない。日本はランキングを大きく引き離されている相手のどこか1つには勝ち、どこか1つには引き分けなければならないということになる。

 

 しかも3月の欧州遠征ではアフリカ最終予選でグループ最下位だったマリに引き分け、欧州予選でプレーオフに進めなかったウクライナに1-2のスコア以上の完敗を喫している。結果も、内容も出なかった現実を考えると「極めて難儀なミッション」と言える。しかしポジティブに考えれば、可能性は高くないがゼロでもない。サッカーは何が起こるか分からない。

 

 もう1度、日程を整理してみたい。
 日本は6月19日にサランスクでコロンビアと初戦を戦い、2戦目はセネガルと24日にエカテリンブルクで、そして28日、ヴォルゴグラードでポーランドと対戦する。

 

 言うまでもなくコロンビアは前回、1-4と大敗した相手。長期政権となっているホセ・ペケルマン監督のもとチームは成熟し、前回はケガでいなかったストライカーのラダメル・ファルカオも好調だ。フランスとの親善試合では2点を先行されながらも、3点を奪って勝ち切っている。このコロンビアに対して負けたところで下を向く必要はまったくない。

 

 むしろ、重要なのは2戦目のセネガルだ。
 リバプールで活躍するサディオ・マネ、モナコのケイタ・バルデ・ディアオという快足のアタッカーは脅威だ。センターバックにもナポリのカリドゥ・クリバリというタレントがいる。個の能力は際立ちながらも昨年1月のアフリカ・ネーションズカップでは準々決勝で敗退しており、組織力には疑問符がつく。他の2チームに比べてつけ入る余地はあると言っていい。

 

 ブラジルワールドカップの教訓として言えるのは、初戦に負けたら終わりではないということ。前回、コートジボワールに逆転負けを喫したダメージを引きずり、前半で1人退場者を出したギリシャに引き分けてしまった。もしあそこでうまく切り替えられていたら、3戦目の流れも少しは変わったのかもしれない。

 

 コロンビアに負けたとしても「想定内」と捉え、いかにセネガルとの試合に100%の力を出し切れるか。ここでセネガルに勝つことができれば、中3日で迎えるポーランド戦にも勢いが出てくる。

 

 ここのところ評価を下げているヴァイッド・ハリルホジッチ監督ではあるが、敢えて強みを探すとすればブラジルワールドカップで第2戦に勝っていることだろうか。

 

 ベルギーとの初戦で逆転負けを喫しながらも、気持ちを切り替えて臨んだ韓国戦に4-2で勝利。そしてロシアとの第3戦は引き分けに持ち込んで、同国初の決勝トーナメント進出を決めている。

 

 この成功体験を日本でどう活かせるか。2大会ぶりの決勝トーナメント進出に向けて、第2戦のセネガル戦が一番のポイントになると筆者は思っている。


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