(写真:東地区首位・千葉と中地区優勝・三河の直接対決は五分で終わった)

 8日、男子プロバスケットボールの「B.LEAGUE」第27節最終日が各地で行われた。千葉・船橋アリーナでは東地区1位の千葉ジェッツふなばしと中地区1位のシーホース三河が対戦。既にチャンピオンシップ(CS)進出を決めている両チームによる一戦は三河が千葉を102-84で下した。レギュラーシーズンでの対戦はこれで終了。対戦成績は1勝1敗となった。

 

 桜木、26得点11アシストのダブルダブル(船橋アリーナ)

千葉ジェッツふなばし 84-102 シーホース三河

【第1Q】23-29【第2Q】14-19【第3Q】26-27【第4Q】21-27

 

 中地区優勝が確定した三河が千葉に乗り込んだ第27節。鈴木貴美一HCが「東地区で一番勢いのあるチーム」と警戒する相手だ。前日の第1戦は千葉が96-77で勝利。三河のリーグ記録更新中だった17連勝はストップし、千葉の連勝は7に伸びた。

 

(写真:激しいコンタクトもあり、緊迫した試合となった)

 CSでぶつかる可能性のある両軍は今年1月の全日本総合選手権(天皇杯)でタイトルを争っている。千葉の連覇で幕を閉じた天皇杯のリベンジに燃える三河だったが、千葉の得意とする速い展開のバスケットに持ち込まれて第1戦を落とした。

 

 この日の第2戦は三河が第1Qからリズムに乗る。インサイドのPF桜木ジェイアールを中心に攻め、外からもシューターのSG/SF金丸晃輔がシュートを沈めた。29-23とリードすると第2Qも点差を広げた。

 

 リーグNo.1の攻撃力を誇る三河。第26節終了時点の1試合平均得点は85.2点。日本代表の点取り屋であるPG/SG比江島慎が「ひとつに絞れずディフェンスをしにくいチーム」と語るように、三河は攻撃の多彩さが武器である。

 

(写真:16得点17リバウンドのダブルダブルを記録したバッツ<5>)

 前半のスタッツを見ると、金丸が13得点、桜木が12得点を挙げた。9リバウンドとインサイドを支配したCアイザック・バッツは10得点。一方でスターターのPG橋本竜馬、比江島はノーゴールだった。

 

 第3Qからは比江島の本領発揮だ。後半開始からの5分間で4本のシュートを決めて、8得点。速攻からのジャンプシュート、自らドライブして切れ込んでのシュート。多彩な得点パターンを持つエースがエンジンをかけた。

 

 1試合平均得点が三河に次ぐ2位(83.8点)の千葉。攻撃の爆発力なら三河にも勝るとも劣らない。司令塔のPG富樫勇樹、インサイドの柱PFギャビン・エドワーズが奮闘。一時は点差を4まで詰めた。

 

 しかし攻め手を緩めない三河が最後は押し切った。前半無得点のスターター2人は比江島が16得点、橋本は9得点を稼いだ。終わってみれば、桜木が26得点、金丸が17得点、比江島とバッツが16得点、SG松井啓十郎が10得点と5人が2ケタ得点を挙げた。

 

(写真:PGの橋本は3P3本含む9得点5アシスト。守りでは富樫をほぼマンマーク)

 鈴木HCは「リバウンドから速攻と千葉の良いところを出させてしまった」と前日の反省点を踏まえ、「速いテンポにしてアーリーオフェンスを狙った」という。その結果が100点ゲームにつながり、リバウンドの数でも圧倒した。

 

 リバウンドは三河の40に対し、千葉が22だ。倍近い差をつけられた千葉の大野篤史HCも「一番の敗因」に挙げたのはオフェンスリバウンドだった。シュートのこぼれ球は、バッツを中心にほぼ三河に拾われたかたちだ。

 

(写真:両軍最多の28得点を挙げるなど奮闘した富樫)

 大野HCが「彼らのスタイルはそこで僕らのスタイルは違う。自分たちのスタイルを出せるか、相手のスタイルをどう消すのかが勝負のアヤになると思います」と語ったように、第1戦は千葉の良さが、第2戦は三河の良さが出て、勝敗を分けた。

 

 26得点11アシストのダブルダブルを記録した桜木は「タフな試合になったが自分たちの強いところを見せられた」と胸を張る。三河は今シーズンより速いテンポのバスケットボールを取り入れ、攻撃の幅を広げた。

 

(写真:41歳とは思えぬエネルギッシュなプレーでチームを牽引する桜木)

 比江島は東地区1位に快勝したことで手応えを口にした。

「(千葉とは)CSでもやる可能性がある。こういうバスケをすれば勝てるという自信につながりました。今日の勝利は大きいと思います」

 

 レギュラーシーズンの対戦はこれで終了した。CS前哨戦は1勝1敗の五分。三河は地区優勝を決めており、全体勝率1位が濃厚だ。千葉もCS進出を決めている。両チームの“再戦”になるとすればセミファイナル、ファイナルか。

 

(文・写真/杉浦泰介)