生年月日は監督の高橋由伸と同じ1975年の4月3日。つまり開幕後、すぐに43歳になる。選手としての残り時間は、そう長くない。

 


 カブスからFAになっていた上原浩治の10年ぶりの巨人復帰が決まった。


 昨年12月の時点では「メジャー以外なら引退」と語っていた。前言を撤回したのは、「やっぱり野球がしたい」から。率直な発言だと思う。


「やることはひとつだけ。一生懸命やる。がむしゃらにやる。それだけです。優勝に向けての勝ち星に貢献したい」


 背番号は巨人時代の「19」から、現投手コーチの斎藤雅樹が現役時代に付けていた「11」に変わった。細身の上原にはよく似合うのではないか。


 昨季、巨人は3.31とリーグ2位のチーム防御率を記録しながら4位に終わった。リリーフ陣が安定感を欠いた。ホールド数(57)はリーグワースト、セーブ数(31)は5位。これでは勝ち切れない。


 メジャーリーグ通算95セーブ、81ホールドの上原の復帰はブルペンのテコ入れにつながるだろう。


 問題は指揮官の継投の腕だ。過去2年間の采配を見ていると、やや先発を引っ張り過ぎるきらいがある。「打たれる前に代える」のが継投の鉄則だが、「打たれてから代える」場面が目についた。


 その典型的な試合が昨年4月2日、東京ドームでの中日戦だ。このゲーム、巨人が6対3で勝ったものの、指揮官の“引っ張りグセ”が顔をのぞかせた。


 それを手厳しく指摘したのが、第4回WBCで侍ジャパンの投手コーチを務めた権藤博である。


「先発の大竹寛が6回で2失点なら万々歳だと思っていたの。この回まで巨人の6対2。7、8回を中継ぎがしのぎ、9回をクローザーが締めれば、4人のピッチャーに勲章がつく。ひとりが勝利投手、ふたりがホールド、最後のひとりがセーブ。ところが7回まで引っ張って打たれてしまった……」


 7回表、セットアッパー投入かと思いきや指揮官は大竹をそのままマウンドに上げ、いきなり平田良介に一発を浴びた。続くバッターにもヒットを許したところでリリーフを送ったが、継投が後手を踏んでいる印象を受けた。


 上原はレッドソックス時代、ワールドシリーズの“胴上げ投手”にまでなった男である。プライドを満たすためにも7回なら7回、8回なら8回と役割と責任を明確にすべきだ。4年ぶりのV奪回に向け、救世主となれるのか…。

 

<この原稿は2018年4月6日号『漫画ゴラク』に掲載されたものです>

 


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